「コメは買ったことがない」発言の余波は、地元・宮崎にも広がっている。


 江藤拓前農相は21日失言の責任を取り、石破首相に辞表を提出し受理された。

農業が盛んな宮崎県から選出された農相があんな失言をすれば、地元選挙区への影響は必至だ。


 宮崎は保守王国だが、この夏の参院選、自民党は苦戦する可能性があるという。宮崎選挙区(改選数1)は与野党一騎打ちの構図になりそうだ。野党の立国社が候補を一本化する方向で調整しており、共産党も独自候補の擁立を慎重に判断している。


 迎え撃つ現職の長峯誠議員(自民)は前回、24万近い票を獲得し、立憲の新人候補にダブルスコアで勝利した。しかし昨年、安倍派からあわせて116万円のキックバックを受けていたことが発覚。政倫審にも出席するなど、「裏金議員」のひとりとして名を連ねている。ある地元政界関係者が言う。


「今のところ、自民の長峯にプラス材料は何もない。裏金事件が報じられてから、自民党や長峯本人に対する県民の不信感は募っています。そこに江藤氏の失言が飛び出し、県内でも『あり得ない』『残念だ』との声が上がっています。自民党の評判は一気に下がっている。

いくら前回が圧勝でも長峯にとって厳しい戦いになるはずです」


■支援者からは「横暴でついていけない」の声


 次期衆院選での江藤氏本人の9選も怪しくなってきた。昨年の衆院選では、次点の長友慎治議員(国民民主)に1万3000票差まで迫られ、比例復活を許した。前出とは別の地元政界関係者は「場合によっては江藤の落選もあり得るのではないか」と、こう続ける。


「父親の江藤隆美元衆院議員同様、本人も激しい性格のようです。地元のJA青年部など若者の支援者からは、『すぐカッとなるし横暴でついていけない』など、人間性を疑問視する声をよく聞く。お隣の宮崎3区選出の古川禎久議員(自民)は謙虚な姿勢で、県内でもウケがいいのとは対照的です」


 その江藤氏は21日、報道陣に「前回の選挙は大変厳しい選挙でしたが、8回目の当選を果たさせていただいた。私を応援し信じてくださった方々に対して、おわびを申し上げたい」と話した。本人も危機感を抱いているのか。参院選は2カ月後に迫っている。保守王国の宮崎で自民党が議席を失おうものなら、大惨事だ。


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 支援者からも批判の声が出る、江藤拓氏とはどんな人物なのか。●関連記事【もっと読む】『江藤拓“年貢大臣”の永田町の評判はパワハラ気質の「困った人」…農水官僚に「このバカヤロー」と八つ当たり』で詳報している。


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