また「構文」が飛び出すのか。「コメ担当」を自任する小泉進次郎農相が27日、衆院農林水産委員会で就任に当たっての所信を表明。
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進次郎氏はコメ価格を抑えるため、備蓄米放出を「需要があれば無制限に出す」と宣言。これまでの入札形式を随意契約に切り替え、スーパーなどに直接売り渡す考えも打ち出した。店頭価格については現状の5キロ4000円超から「2000円程度」を目指すと豪語。実現すれば消費者は大助かりで、参院選を控える自民党内からは「進次郎さんの突破力に期待したい」との声が上がる。
だが、コメ業界では進次郎氏の方針に対し、不信感も広がっている。
「今後、放出する古古米(2022年産米)は元から安価ですから、瞬間的に相場を下げる効果はあるでしょう。でも、持続するとは思えませんし、進次郎さんの手腕とは無関係です。そもそも、備蓄米は限りがあり、安く流通させたところで一時しのぎにしかならない。一方、25年産米は既に買い付け競争が過熱しており、収穫期の秋に出回る新米が再び高値をつけるのは明白です。本来、営農コストに見合うコメの適正価格や、営農者が持続可能な環境について議論すべきなのに、それは後回し。
本質的な議論は後回しに
つまり、農政が抱える本質的な問題は脇に置き、とりあえず「コメ担当大臣」として目先の「値下げ」に躍起になっているわけだ。28日の農水委ではその点を追及されるのは間違いない。答弁に詰まり、意味不明な「進次郎構文」が飛び出せば一大事。一気に世論の批判を招いてもおかしくない。
そんな展開を恐れてか、自民党内の一部からは不安の声が上がる。農水族議員の秘書はこうこぼす。
「随意契約への切り替えやスーパーなどへの直接売り渡しなど、進次郎さんのやり方はこれまでの農政とは真逆です。彼の方針が現場に受け入れられるかは微妙でしょう。特に、小売りなどへの直接売り渡しは、集荷業務を担っているJA全農を敵に回しかねません。JA系の政治団体は古くからの自民党の集票組織ですから、下手すれば参院選で票を減らすことになるのではないでしょうか」
農水族の“ドン”の森山裕幹事長も「安ければいいというものではない」と進次郎氏にクギを刺していた。
「備蓄米の総量約90万トンに対し、国内の消費量は月約60万トン。ハナから数が足りていないから、結局、安いコメを手に入れられるのは一部の大手流通・小売りに限られ、不公平感が広がる恐れがある。
安いコメを入手できない国民にソッポを向かれれば、「客寄せパンダ」にもなれない。
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すっかり“令和のコメ将軍”気取りの小泉進次郎氏。価格が下がらなければ形無しだが…●関連記事【もっと読む】『暴走する進次郎コメ担当大臣ブチ上げ 備蓄米放出「随意契約」は「大混乱生む」と専門家が危惧』で詳報している。