何ら反省を示さず、献金死守だ。自民党派閥の裏金事件を機に始まった企業・団体献金の見直し議論は昨年の臨時国会に続き、今国会も成果ゼロ。
与野党は昨年末、見直しの結論を3月末までに出すと合意し、今国会で立憲民主、日本維新の会、共産、れいわ新選組、衆院会派・有志の会の野党5党派は献金禁止法案を提出。自民は「禁止より公開」を掲げて献金存続を前提とする公開強化法案を提出したが、衆院政治改革特別委員会での議論は平行線をたどった。
3月に入り、国民民主・公明両党が共に献金の受取先を政党本部と都道府県連だけに限る規制強化法案をまとめ、自民に合意を持ちかけた。
しかし、自民は地方議員が代表の政党支部などが献金を受け取れなくなることに反発。党内で献金を認める政党支部の条件に、政治資金収支報告書のオンライン提出・ネット公開案が浮上すると、国民民主の玉木代表が「ひとつの考え」と歩み寄り、自公国は同案で合意した。
献金した企業・団体名の公表基準こそ自民提出案の「年1000万円超」から「年5万円超」に引き下げたものの、規制強化は骨抜き。合意時にはもう3月末を迎え、「結論を出す」との約束は反故にされた。
■公国の法案提出もサボタージュ
「4月の国会はトランプ米大統領の関税措置への対応一色。そのドサクサに紛れて自公国3党も合意内容を反映した法案を出さず、サボタージュです。『政治とカネ』の改革は後退し、4月以降、衆院特別委での議論は一度も行われていません」(野党関係者)
自民と立憲はGW明けに与野党による議論の場を設けることで合意したが、この約束も自民は無視。膠着したまま、会期末に持ち込めば現行の企業・団体献金が維持できる。
「自民の都議会会派でも裏金問題が発覚したのに、反省ゼロ。石破首相も法案の実務担当だった小泉進次郎氏を新農相に選ぶなど、改革に後ろ向き。31年前の政党助成金の導入時に企業・団体献金を廃止するとの意向もなかったことにしています。主権者・国民への裏切り行為です」(立正大名誉教授・金子勝氏=憲法)
金権腐敗政党のあり得ないような無反省には、来たる都議選と参院選で鉄槌を下すしかない。
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自民党の裏金事件を巡り、衆院予算委員会が23日、旧安倍派幹部の下村博文元文科相の参考人招致を賛成多数で議決。実態解明のために真実を語ってもらいたいものだが、下村氏のヤル気を苦々しげに見ているのが、東京都議選を控えた都議会自民の面々だ。●関連記事【もっと読む】『旧安倍派「裏金問題」の参考人招致に下村博文氏が気力たっぷり!都議会自民党が戦々恐々のワケ』で詳報している。