「ちゃっかり」というか、「維新らしい」というか。大阪府の吉村洋文知事(日本維新の会代表)が“令和のコメ騒動”に便乗している。


 吉村知事は28日の定例会見で、府内の子育て世代への物価高対策である「お米クーポン第4弾」の期間延長を発表。申請期間は6月2日から9月1日までとした上で、引き換え期限について当初の9月から11月末まで延長した。


 府内在住の18歳以下の子どもと妊婦の約135万人を対象に1人あたり5000円のクーポンを配ってきたが、今回は7000円に増額。コメもしくは7000円相当の食料品と引き換えられるクーポンのどちらかを選べるという。


 政府備蓄米の放出に関するニュースが連日報じられる中、ここぞとばかりに乗っかった吉村知事。会見では、「今後、放出される備蓄米も対象になる」「(使用)期限を11月末まで延ばしたので、新米が出た後も使えるようにした」と胸を張った。 子育て世代のウケは良くても、コメ価格高騰に悩まされているのは皆同じ。随意契約によって放出された安価な備蓄米が店頭に並ぶことに、吉村は27日の囲み会見で「不公平感をできるだけ緩和するような策も国は考えた方がいいだろう」と上から目線で語っていたが、「お米クーポン」の不公平感は払拭しなくていいのか。


■子ども食堂のコメは減量


 山田けんた府議(枚方市)が言う。


「行政の所得再分配の機能に照らせば、所得制限のない配布は『バラマキ』とのそしりを免れません。子ども・子育て支援をうたう一方、府内の子ども食堂に対する支援事業のコメは従来の5キロから2キロに減らしており、一貫性に欠けます。子ども食堂からの陳情を受け、府にコメ5キロへ戻すよう要望したところです」


 政策的な一貫性がなくても、吉村知事はお構いなし。

しょせん、選挙対策に過ぎないからだ。


「まるで大型選挙にあわせたかのように、『お米クーポン』を配布しています。2023年の第1弾の申請期間中は統一地方選、24年の第3弾は衆院選、そして今回の第4弾は参院選が重なる。府内はいまだ維新の牙城ですが、国政で野党第1党を目指した時ほどの勢いはありません。ますます『地域政党』の感が鮮明になるばかり。これから吉村知事は、住民投票で2回否決された都構想に再び挑むとみられます。悲願達成の足固めとして、有権者の歓心を買うのに必死なのでしょう」(府政関係者)


 コメ不足に乗じてアピールとは、何とも情けないではないか。


  ◇  ◇  ◇


 新たに放出される備蓄米「古古米」「古古古米」は果たしておいしいのか? 創業90年の老舗米穀店に聞くと…関連記事【もっと読む】で詳しく報じている。


編集部おすすめ