今夏の参院選は通常国会の会期延長がなければ、7月3日公示、20日投開票の日程で行われる見通しだ。公示まであと2カ月となったが、派閥裏金事件から続く自民党への逆風は、収まるどころか石破内閣の支持率低迷でさらなる大逆風。

32ある1人区が勝敗を分ける天王山とされるが、実は自民の苦戦は複数区にも及ぶ。これまで確実に議席を維持してきたテッパン選挙区もガタガタだ。


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 今度の参院選は、定数248議席の半数の124が改選。これに欠員1を含む計125議席を争う。自公の非改選議席は75(自62、公13)あり、自公で過半数を維持するには50議席以上が必要だ。


 時事通信の調べでは、4月30日現在で315人(選挙区216人、比例代表99人)が立候補を準備中。1人区の勝敗は、乱立する野党系候補の一本化がどこまで進むのかだが、台風の目になりそうなのが、支持率野党トップでイケイケの国民民主党だ。1人区にも積極的に擁立しており、結果的に一本化が進まなければ、自民を利することになる。


 もっとも、自民は改選2議席以上の複数区でも想像以上に情勢は厳しい。「自公で50議席割れもあり得る」と自公大惨敗を予想する政治評論家の野上忠興氏は、「複数区は自民が確実に1議席を獲得する『指定席』とされてきた。しかし今回は、現職2人が共倒れする選挙区が出るかもしれない」と話す。中でも大苦戦が確実なのは、東京、千葉、兵庫だ。


■東京(改選6+欠員1)


 毎度、2議席を獲得してきた自民だが、現職の武見敬三参院会長に続く2人目がいまだ決まっていない。一方で、立憲2人、公明、共産、社民が擁立する中、国民民主が、元NHKアナウンサーを含む2人を擁立して殴り込み。石丸伸二氏率いる地域政党「再生の道」も候補者を立てた。


「自民2人目の選考は迷走しています。都議会の裏金問題もあり、都連が機能不全に陥っている。直前に都議選があるので、選挙疲れで参院選の運動量は減る。組織票の奪い合いになったら共倒れで、武見氏だって危ない」(自民関係者)



北海道、神奈川、京都、大阪、福岡の「指定席」も苦戦

■千葉(改選3)


 自民2と立憲の指定席だが、国民民主が元NHK記者を擁立。2人の自民現職のいずれかが落選の憂き目に遭いそうだ。


「立憲は野田氏の地元の千葉で現職を落とすわけにいかない。ただ、勢いのある国民民主も、千葉ではパワハラ問題が未解決。パワハラ当事者であるNHK出身の衆院議員が街頭で応援できない状況です。これがどう影響するか」(地元関係者)


■兵庫(改選3)


 過去3回、自公維の3党で議席を分け合ってきた。

しかし今回は、知名度の高い泉房穂・元明石市長が無所属での出馬を表明、トップ当選が堅いとされる。国民民主も元経産省職員を擁立した。結果、残る1議席を自公維で争う事態になる可能性がある。


 昨夜、「NHKから国民を守る党」の立花孝志党首も、兵庫で立候補するとユーチューブ番組で表明した。全国一の混戦選挙区に決まりだ。


「他にも、北海道、神奈川、京都、大阪、福岡の自民指定席が揺らいでいます」(野上忠興氏)


 改選3の北海道では、自民の2議席死守が厳しい。神奈川、大阪、福岡も国民民主の擁立が影響しそう。改選2で自民と共産が現職の京都は、維新が元関西テレビのアナウンサーを擁立する。立憲、れいわの候補者に加え、国民も擁立を検討中だ。しかも、自民現職の西田昌司氏は裏金議員。安泰ではない。


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 参院選を控え、国会は減税一色だ。

執行部が慎重な自民を除き、主要政党が減税で一致。だったら参院選を待たずに今国会でサッサと審議すればいいのに……。●関連記事【もっと読む】『自民を除く主要政党が「消費税減税」で完全一致なのに…早期実現を阻む安倍元首相の“大罪”』もあわせてどうぞ!


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