分断が進むか。韓国憲法裁判所が4日、「非常戒厳」宣言を巡り弾劾訴追されていた尹錫悦大統領(64)の罷免を宣告。
尹氏は2年の任期を残して失職。罷免を受け、「皆さまの期待に沿えず、とても残念で申し訳ありません」とのコメントを発表した。今後60日以内に大統領選が行われる見通しで、6月3日投開票が有力視されている。
今回の弾劾裁判は、尹が昨年12月3日に宣布した非常戒厳がキッカケ。国会で多数を占める野党を潰すため、軍や警察を国会に投入する“禁じ手”に打って出たが、直後に国会が解除要求決議案を可決。宣布から6時間後に非常戒厳は解除された。
尹氏の罷免に涙を流す支持者の姿も。現地を取材する国際ジャーナリストの太刀川正樹氏が言う。
「罷免決定後、興奮冷めやらぬ雰囲気が漂っているものの、目立った衝突などは起きていません。朴槿恵元大統領が罷免された時は、朴氏の支持者と警官隊が衝突して死傷者が出ました。
気になるのは、今後の展開だ。世論調査機関「韓国ギャラップ」が4日発表した調査によると、次期大統領にふさわしい人物は、最大野党「共に民主党」の李在明代表(61)が34%でトップ。前回2022年の大統領選で尹氏に僅差で敗れたが、今は圧倒的な人気を誇る。しかし、李氏も公選法違反や北朝鮮への不正送金など5つの刑事事件を抱えており、安泰ではない。
「世論は野党支持に傾いていますが、李氏はスキャンダルが多く、身内からも反発をくらっています。目下、李氏が有力な大統領候補ではあるものの、革新系の支持者からも『李氏でいいのか』と疑問を抱かれているのも事実。しかし、他にマシな候補がいるかといえば、そうでもない。保守側にも良いタマがいない。本命不在の不思議な大統領選になるかもしれません」(太刀川正樹氏)
まだまだ混乱が続きそうだ。