ただの“お騒がせ”で済むのだろうか。
ロシア大統領府が29日、プーチン大統領が安倍元首相の昭恵夫人とモスクワのクレムリンで面会したと発表。
会談では、冒頭でプーチン大統領から大きな花束を手渡された昭恵夫人は、涙を浮かべる場面もあった。プーチン大統領は安倍元首相について「ロシアと日本との関係発展に大きな貢献をした」と称え、昭恵夫人は「ロシアは大切な隣国で、文化的な交流は続けていただきたい」と発言。終了後は、バレエ鑑賞のため劇場に向かう昭恵夫人に、プーチン大統領が大統領専用リムジンを貸し出す歓待ぶりだった。
ウクライナ侵略が始まってから3年以上が経過し、外務省はロシアへの渡航中止勧告を発出中。ロシア軍の死傷者は約90万人で、ウクライナ軍は約40万人とされる。国際刑事裁判所(ICC)はプーチン氏に戦争犯罪容疑で逮捕状を出しているが、そんな相手に一体どんな理由で会ったのか。
「昭恵夫人は昨年12月、米国の大統領就任が決まっていたトランプ氏と面会しています。当時はトランプ氏側に安倍元首相を弔問したい意向があり、昭恵夫人との面会を要望したそう。安倍元首相の在任中に27回も会談したプーチン氏も、弔意を示したかったため、昭恵夫人にアプローチしたとみられています。基本的に、昭恵夫人にプーチン氏と面会する動機はないため、ロシア側が招待したと考えるのが自然です」(外交事情通)
■「国際社会に誤ったメッセージを発信した恐れ」
筑波大名誉教授の中村逸郎氏(ロシア政治)はこう見る。
「プーチン氏の目的は国内世論の沈静化でしょう。
スッカリ政治利用されてしまったわけだ。
「より痛いのは国際社会に誤ったメッセージを送った可能性があることです。欧米諸国が足並みを揃えてロシアと対峙しているのに、『なぜ日本だけ接近するのか』と受け止められても仕方ない。林官房長官は『政府として昭恵夫人とやりとりしていない』と知らん顔ですが、本来、止めるべきでした」(中村逸郎氏)
昭恵夫人本人に確認するため携帯電話を鳴らし、留守電を残したが、連絡は返ってこなかった。さすがに軽率すぎるのではないか。