28年ぶりに国会で審議入りした選択的夫婦別姓をめぐる法案。衆院法務委員会で3案が審議されており、立憲民主党と国民民主党が別姓導入法案、日本維新の会は旧姓の通称使用を法定化する法案だ。

現状、どの案も多数を得られず、採決すれば否決される。党内が推進派と反対派に割れているため採決したくない自民党は、継続審議で“先送り”を望んでいる。そこで、立憲が「国民案に歩み寄ってもいい」と言い出した。


 立憲案も国民案も制度導入を目指す立場は共通。違いは子どもの姓の決め方ぐらいだ。立憲案は婚姻時に決め、国民案は婚姻時に戸籍の筆頭者を定めて子の姓を筆頭者と同じにする、というもの。立憲の辻元清美代表代行は2日、「山をどっちから登るかの違いで(両案の)ゴールは同じだ。野党第1党が寛容にならないといけない。多くの成立させてほしいとの思いに応えられるのはどういうことか考えていくべきだ」と国民案に賛同する可能性を示したのだ。


■玉木代表の本音は「成立」させたくない


 ところが、である。3日の会見で国民民主の玉木雄一郎代表は立憲からのラブコールを拒否。「立憲と協力しても法案は通らない」「野党連合軍で出したら与党側が受け入れにくくなる」「立・国で何かやっても前進しない」と、できない理由を並べ立てた。


「野党連合で攻め、多数派工作に動けば、自民党内の推進派や本来は導入賛成の公明党を揺さぶれる。メディアも取り上げるし、採決で造反者が出るかもしれない。国民民主は法案を出しておいて、成立させたくないのか」(永田町関係者)


 玉木代表にやる気がないのは、ここまでの行動を見ればクッキリだ。2022年には導入法案を立憲など野党4党で共同提出し、昨秋の衆院選でも公約に掲げていたのに、SNS効果などで保守票の支持があると分かると、消極姿勢に転換。今回、法案を出したのは「強く推進している連合の芳野会長に怒られたから」(前出の永田町関係者)で、立憲への対抗意識と“やってる感”に過ぎなかったというわけだ。


「本気で法案を成立させたいなら、立憲と一緒にやれる条件を探るはずで、四の五の言って拒否するのは、選択的夫婦別姓の実現に汗をかくより、独自路線で目立つことしか頭にないからでしょう。国民民主の行動は実質的に別姓の実現を邪魔している。そういう立ち位置で有権者に評価されるのか。かえって埋没して、信頼を失うことになる」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)


 党利党略、個利個略。ホント、玉木代表という政治家の化けの皮が次々剥がれている。


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 イケイケだったはずの国民民主党の政党支持率はズルズルと下落。その原因は?●関連記事【もっと読む】『国民民主党の凋落にライバル政党ニンマリ…支持率下落、地方選で公認候補が敗北』で詳しく報じている。


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