「基礎年金の底上げ」などを盛り込んだ年金制度改革法案が4日、参院で審議入りした。自民党、公明党、立憲民主党の3党合意を経て13日にも成立する見通しだが、新たな火種がくすぶる。
キッカケは、国民民主党の玉木雄一郎代表が自身のXに投稿した年金法案への批判。先月30日のポストだ。
〈今回の年金改革法案には、遺族年金の大幅カットも含まれています。最終的には、夫に先立たれた時に60歳未満の妻は遺族年金を5年間しかもらえなくなります〉
この投稿のインプレッション(表示回数)は1000万回を超え、1500件以上のコメントがついている。一見すると、「エエッ!」と思う内容だが、ダマされてはいけない。どういうことか。
■見直し対象は限定的
現行の遺族厚生年金は、夫婦の間に子どもがいない場合、男女差がある。夫に先立たれた女性が30歳未満だと「5年間の有期給付」で打ち切りになるが、30歳以上の場合は「無期給付」の対象で生涯受け取れる。一方、妻に先立たれた男性は55歳未満なら「給付なし」、55歳以上なら「60歳から無期給付」だ。
この男女差を取っぱらうのが、今回の見直しの肝。見直し後は、60歳未満で配偶者と死別した場合、男女ともに「原則5年間の有期給付」になる。
見直し直後から影響を受けるのは、「28年度末時点で40歳未満かつ子どもがおらず、夫と死別した女性」。厚労省の推計によれば年250人が見込まれるものの、収入や障害に応じて5年間の給付で打ち切りにならないように配慮されている。
一方、18歳以下の子どもがいたり、すでに遺族年金を受け取っている人は、見直しの「対象外」。約8万人の遺族が年金増額の恩恵を受けることになる。
子の有無や受給の継続要件、増額に触れずに〈遺族年金を5年間しかもらえなくなります〉と扇動する玉木代表の何と乱暴なことか。
案の定、SNS上では〈現在遺族年金をもらっている人も、5年間しかもらえなくなるのか〉〈子どもを産むのを諦める〉など困惑の声が相次いでいる。
選択的夫婦別姓をめぐり、立憲との協議を拒否した玉木代表のこと。「対決より解決」より「立憲憎し」になってませんか、センセー?
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