今月22日の通常国会会期末に向けて、石破自民が突如、解散風を吹かし始めている。


 朝日新聞が3日、1面で「不信任提出なら衆院解散検討 首相、終盤国会へ牽制」との見出しを掲げ、読売新聞も2面で「石破内閣 不信任提出なら解散も」と報じた。

記事の趣旨は、立憲民主党が内閣不信任決議案を提出した場合、石破首相は採決を待たずに衆院を解散する可能性があるーーというものだ。2紙に追随するように、他メディアも続々と報じていた。


 不信任案が可決された場合、首相は10日以内に衆院を解散するか内閣総辞職をしなければならないが、ポイントは、採決を待たず提出された時点で解散に打って出るとしていることだ。最近は内閣支持率も下げ止まった感があり、強気なのかもしれないが、解散するとなると参院選との同日選ということになる。


 3日の産経新聞のインタビューに応じた石破首相本人は、不信任案が提出された場合の対応について「今議論する意味はない」とケムに巻いたが、「不信任提出なら解散」という情報をメディアに流したのは、何かしらの意図があるのは確実。石破首相は本気で解散に踏み切るつもりなのか。


「立憲に対する牽制、脅しでしょう」と言うのは、ある官邸事情通だ。


「昨秋の衆院選で大敗し少数与党となって以降、石破政権は要所要所で野党の協力を得なければならず政権運営は綱渡り。石破さんは疲れ切っています。衆院選を戦う余裕はなく、参院選で過半数を維持することしか頭にないはず。野党が結束して可決されてはたまりませんから『不信任なんか出すなよ』と牽制しているわけです。立憲の選挙準備が進んでいないのも事実ですから『解散されたらアンタらも困るでしょ』と脅す意図もあるのでしょう」



野党もパッとせず「今なら負けない」

 一方、「石破さんは立憲を挑発して“土俵”の上におびき出す気だ」とみるのは、自民党事情通。

こう続ける。


「昨秋の政権発足以降、支持率は低迷し、今年3月には10万円の商品券配布問題が噴出。森山幹事長が『絶対に解散するな』とクギを刺すほど、ボロボロの状態でした。ところが、小泉進次郎さんを農相に就けたことで状況は一変したーーと石破さんはみているようです。進次郎効果でどん底から脱出できたと踏んでいる。確かに、進次郎さんがコメ問題に対応したことで支持率も下げ止まっています。それに、野党もいいところがない。立憲は、自公と修正合意した年金制度改革法案を巡って、『厚生年金の流用』と批判を浴びている。国民民主党も、不倫報道があった山尾志桜里氏の擁立や、玉木雄一郎代表が備蓄米を『餌』と言ったことで支持が下落。日本維新の会もパッとしない。この状況なら前回衆院選のような負け方はしないとみているといいます。本音では『不信任を出せ』と思っているのではないか。

効果があったのか朝日や読売が報じたことで、野党内では『不信任を出すべきだ』との声が強まっています」


 乾坤一擲の“コメ解散”というわけだが、果たしてうまくいくだろうか。夏の参院選では、大敗し「非改選議席を含めても自公で過半数をとれない」(前出の官邸事情通)という見方もある。そんな中で衆院選も負ければ、退陣必至である。


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 国民民主党の玉木代表が、ネット上で袋叩きに……。完全に一時の勢いを失った国民民主党。もとの弱小政党に戻る可能性も?●関連記事【もっと読む】『国民民主党ブームはジ・エンドか…玉木雄一郎代表「備蓄米は動物の餌」発言に批判殺到』で詳報している。


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