「7月に大災害が起きる」--。たつき諒氏の漫画に記されていた夢日記を発端として、2025年は災害危機に注目が集まっているが、実は経典にも“未来予言”は綴られているのだという。
本書では、三木住職が『法華経』をはじめ、経典を読み解いて未来に起こる危機を解説している。改めて、これから来る災害について聞いた。
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私たちが生きる現代は、今から800~900年前に始まった「末法時代」と呼ばれています。この末法時代には、「三災七難」という災いが起こると書かれています。
経典の中には地震を表す教えもあります。たとえば、「六反振動娑婆世界(ろっぺんしんどうしゃばせかい)」という表現があって、世界が六方向に揺れる、つまり「地震の発生」と解釈できます。しかしこの揺れは必ずしも悪い前兆とは限りません。お釈迦様が法を説かれる前にも大地が揺れたとされており、よい変化の前触れであることもあるのです。六変振動娑婆世界がいつ起きるということは記述がありませんが、仮に大きな地震があったとしたら、その後世界的に好転するとも考えられます。
歴史を振り返ると「人類の文明や文化は800年周期で転換する」という仮説「八百年周期説」があります。調べてみると、西暦2000年前後が800年の切り替わりの時期にあたります。
■最初に訪れる“前兆”は「空」
この流れを現代に当てはめると、2002年に北海道で「赤いオーロラ」が撮影され、9年後の2011年に東日本大震災。そこから14年後が今年に当たるのです。これは私がお経や古文書、科学的知見をもとに読み取った予測です。私は最初に現れる前兆は「空」だと思います。鎌倉時代には異常気象、夏に雪が降ったという記録があり、近年の猛暑や豪雪、ゲリラ豪雨が「七難」のひとつ「時節反逆難(じせつほんぎゃくなん)」に重なって見えるのです。
さらに1227年の地震の3年後には、大飢饉(寛喜の飢饉)が起こりました。当時の記録には「天下の人種、三分の一を失す」とあり、甚大な被害だったことがわかります。お経には「穀貴(こっき)」と記されており、現代ではすでに葉物野菜や米の価格高騰が始まっています。国際情勢の影響で輸入が滞れば、日本の低い食料自給率では、鎌倉時代と同様の食糧難が3年後に起こる可能性もあると懸念しています。
それでも私は、人類が「反省すれば危機は回避できる」と考えています。価格の上昇や気候の異常といった現実を前に、自然や他の命との共存を見つめ直すべきときではないでしょうか。仏教には「三精気(さんしょうき)」という教えがあります。大地、人間、仏の教え、三つの生命力が調和してこそ世界は安定するとあります。不安を煽るのではなく、地震予測を“気づき”のきっかけとし、共に生きる道を考える時間にしてほしいですね。
(取材・文=浦上優)
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