「丁寧に真摯に、逃げずに説明することに尽きる」──自民党は29日、党の重要な意思決定機関「両院議員総会」を近く開催することを決めた。党執行部が「石破おろし」の大合唱に押し切られた形だが、石破首相(党総裁)本人はあくまで続投の意思を崩さない。
「自分自身の責任については、国民世論と党の考え方が一致するのが大事」
28日の両院議員懇談会の終了後、石破首相が記者団に言い放った言葉だ。退陣要求でつるし上げられた直後、自信たっぷりに「国民世論」を持ち出したのである。それだけ世論は続投に理解を示していると踏んでいるのだろう。実際、石破首相の進退を巡っては、どの世論調査も「辞めるべきだ」「その必要はない」が拮抗している。
26、27日実施の朝日新聞の世論調査では、自民支持層に限ると「辞める必要はない」が実に70%にも達した。同じ調査で参院選の自民大敗の要因を「自民全体に問題がある」「首相個人に問題がある」の2択で聞くと、自民支持層の81%が前者を選択。全体で見るよりも参院選大敗は自民党そのものに原因があるとの見方が顕著で、「石破辞めるな」との意見が強いのである。
「石破おろし」を主導する党内の中堅・若手の背後には“汚れた実力者”の影がチラつく。具体的には旧安倍派の裏金幹部の萩生田元政調会長や、マネロンまがいの政治資金移動で使途を隠した茂木前幹事長らだ。
「しかもポスト石破を目指して蠢くのは、党内で最も右寄りの高市早苗前経済安保相。『健全な保守』を求める古くからの支持層ほど『石破おろし』がおぞましく映るのではないか」(自民関係者)
さらに石破首相の強気を支えるのが、もう1つの世論だ。
「農政改革」に同じ思い
その進次郎氏は29日の閣議後会見で、内閣の一員として石破首相を支える意向を明言。石破首相が続投の理由に打ち出すコメ増産などの農政改革について「同じ思いだ」と強調し、「大きな節目を乗り越えるところは石破政権で必ずやり遂げておかなければいけない」「その後押しを農相としてできればと思う」と力説した。
「総理本人の中には、ポスト石破に名の挙がる進次郎氏を味方につければ、当面は『石破おろし』をしのげるとの計算が働いていても不思議ではない。進次郎氏にとっても備蓄米放出を後押しした総理はもちろん、農水族の反発を抑えた森山幹事長への感謝の念は強い。大恩に報いようと、詰め腹を切らされる森山さんに代わって後任幹事長に就任。石破続投を支えるとの見方も早速、浮上しています」(自民党関係者)
進次郎幹事長が石破続投の「切り札」となり得るのか。まだまだ泥仕合は続く。
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