「大連立でもするのか」と思わせる“親密すぎる”やりとりだった。4日の衆院予算委員会で質問に立った立憲民主党の野田佳彦代表と答弁した石破茂首相のことだ。


 物価高対策について、野田代表が「給付金、減税、給付付き税額控除を我々はセットで訴えている。それぞれ検討し、協議を」と迫ると、石破首相は「答えは出さなきゃいかん。代表のおっしゃることに同意する」と答え、「比較第1党と第2党が支持をいただいた責任は共有したい」と応じた。


 企業・団体献金の見直しについては、野田代表が「第1党と第2党、私と総理とで膝を突き合わせて協議を」と呼びかけ、「国民民主・公明案を落としどころに」と提案。立憲が主張してきた「献金禁止」を引っ込めて協議を求めると、石破首相は「そのようにさせていただきたい」「第1党と第2党が党首同士で真摯な議論をすることに大きな意味がある」と呼応した。


 トランプ関税についても野田代表は「4318品目もある。具体的に対策を講じるべき」と、これまで石破首相が説明してきたことをなぞるような質問で、案の定、石破首相の答弁も「全くその通り」だった。「第1党と第2党」「党首同士」などの言葉を繰り返し、2人でしきりに共鳴し合っていたのだ。


 参院選で自公は過半数割れの大敗だったが、野田・立憲も議席を増やせず埋没。今月1日の立憲の両院議員懇談会では「事実上の敗北だ」など執行部を批判する厳しい意見が続出した。しかし、野田代表の代表辞任論にまでは至っていない。それをいいことに石破首相と傷のなめ合いか。


■閣外協力に向けたデキレース?


 野党をまとめれば内閣不信任決議案だって出せるのに、野田代表は1日の会見で「対決姿勢は秋だっていい」と発言し、まったくヤル気なし。その延長線上で、4日の予算委を見れば、むしろ石破続投を「後押し」しているかのようだ。


「石破・野田両氏のやりとりは、デキレースかというほどで、明らかにおかしかった。自民と立憲が連立政権を組まないまでも、立憲が閣外協力に舵を切る。そんなメッセージに聞こえました。これで安定政権ができたら、石破おろしもなくなる。そんな計算も働いているのか。第1党、第2党を強調するのは既成政党の逆襲のようなものでしょう」(政治ジャーナリスト・角谷浩一氏)


「政権交代」を主張しながら、政権を取りに行かない野党党首。ドッチラケだ。


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 自民党内の「石破おろし」の糸を引く旧安倍派の萩生田光一元政調会長、倒閣運動にかまけている余裕はなくなっちゃった?関連記事【もっと読む】『萩生田光一氏「石破おろし」がトーンダウン…自民裏金事件めぐり、特捜部が政策秘書を略式起訴へ』で詳報している。


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