しょっぱなから悪目立ちしていた。


 臨時国会が召集された1日、先月の参院選で当選した参政党議員が、国会に初登院した。


 午前8時半過ぎ、神谷宗幣代表を先頭に、14人の新人議員が一斉に正門前に姿を現した。オレンジ色のTシャツなどを身に着けた20人ほどの支持者が駆けつけ「ガンバレー!」との声が飛び交う中、ぞろぞろと列をなして歩く“参政党ご一行”。肩で風を切り歩くさまは、どこか異様な雰囲気だった。


 国会議事堂の中央玄関前に着くと、議員らは報道陣の取材に応じた。東京選挙区で初当選したさや氏(本名・塩入清香)のもとには、20~30人が殺到。党スタッフが「1人1問で、5分くらいでお願いします」と呼びかけ始まった囲み取材では、選挙期間中の発言をめぐり厳しい質問が飛んだ。


「『核武装が最も安上がりで、最も安全を強化する策のひとつ』と話していたが、国会でもこうした主張をしていくのか」と問われたさや氏は、「党の方針に従うつもりです。細かい部分については後日ご報告できたら」と、ボソボソと答えた。


 その後、他の記者が「核武装の発言についてですが」と問いかけた瞬間、スタッフがまずいと思ったのか、張り詰めた表情で「同じ内容でしたら、他の方お願いします」と遮った。


■ずさんな取材対応に報道陣が困惑


 この記者は制止を振り切って「ご自身の選挙期間中の発言なので。撤回する意向はないのか」と聞いたが、さや氏は「後ほど、党との擦り合わせが終わったら報告したい」と、やはりゼロ回答だった。


 同じ記者が「何万人もの方が被爆して苦しんでいる。

彼らに同じことが言えるのですか!?」とたたみかけても、スタッフが「(質問は)1点だけで!」と再び遮り、さや氏はダンマリ。トンデモ発言が追及されるのは予想できたはずだが、改めて自分の言葉で説明する気はないようだった。


 結局、囲み取材はわずか3分ほどで終了が告げられた。慌てた報道陣から「今後は本名で活動していくのか」など、記事を書くにあたって名前の表記の確認を求める質問が相次いでも、スタッフは「はい、すいません!どうも!」とシャットアウト。「党に問い合わせても返事がないからここで聞いてるんですよ!」と食い下がる記者もいたが、スタッフは「ご協力お願いします」と繰り返すだけ。その場にいたメディア関係者は「こんな基本的なことも答えてくれないのか……」と、呆れ顔だった。


 議員が自身の発言に責任を負わないだけでなく、報道対応もずさん。議席を大幅に増やし、公党として責任が重くなったにもかかわらず、こんな体たらくで大丈夫なのか。


  ◇  ◇  ◇


 フリーランスライターの畠山理仁氏が現在、『不気味な躍進 参政党のトリセツ』を連載中だ。関連記事【シリーズ初回】から読める。


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