「石破おろし」の自民党内抗争が続いているが、それに伴い旧安倍派内でも暗闘が繰り広げられている。世耕弘成衆院議員(前参院幹事長)が29日のテレビ出演で、自身を含む旧安倍派幹部4人が「石破首相の交代が必要だとの認識で一致した」と発言したのも、その一環とみられる。


 世耕氏は、萩生田光一元政調会長、西村康稔元経産相、松野博一前官房長官と23日、東京都内で会談。そこで話された内容に言及したわけだが、世耕氏は派閥裏金事件で離党勧告処分を受け、自民党を離党している身だ。先の参院選でも地元・和歌山県で無所属候補を支援して自民公認候補を落選させ、県連を激怒させている。「アンタが言うか」なのだが、ネット上でも、裏金事件の震源地である旧安倍派の石破おろしには「世耕、萩生田、西村、松野……、どの口で」などと批判コメントがあふれた。


「世耕さんが4者会談の内容を表に出したのは、離党中だし、焦りがあるからでしょう。旧安倍派の主導権争いが始まったということ。『ポスト石破』で4人は高市早苗前経済安保相を担ぐ。旧安倍派をまとめて高く売って、高市政権での復権やポスト獲得を視野に入れている。その時に向けて4人のうち誰が主導権を握るかの争いです」(自民党関係者)


 主導権争いは“露出合戦”でもある。


 萩生田氏が25日に自身のブログに「政治家の出処進退は自分で決める。私たちが先輩から受け継いだ自民党の矜持と伝統は首相も共有していると信じる」と書き込んだことが報じられると、西村は27日、自身のX(旧ツイッター)に「(衆院選、都議選、参院選と)3連敗した責任はうやむやにできない」と投稿し、総裁選の実施を主張。29日は世耕氏がテレビで倒閣宣言。

西村も29日、石破首相による戦後80年談話について「不要と考えている。無用な混乱を招く」と再びXに投稿した。3人揃って自己アピールに余念がない。


 裏金事件で冷や飯を食らって「石破憎し」では一致しているものの、その先は高市政権を睨んでの「オレがオレが」で見苦しい。


■旧安部派内でも冷ややかな目


「メディアへの情報リークでも3人が牽制し合ってる。旧安倍派内にも彼らの言動に冷ややかな中堅・若手がいますよ。28日の両院議員懇談会では、旧安倍派の稲田朋美元防衛相が『党執行部だけの責任ではない。裏金問題のけじめがついておらず、安倍派の責任も大きい』と発言していた」(別の自民党関係者)


 石破首相が辞任するのかどうかも、高市氏が自民党総裁に選ばれるのか首相になれるのかどうかも分からないのに、おめでたい人たちだ。それより裏金事件の真相究明に尽力したらどうか。


  ◇  ◇  ◇


 小泉進次郎幹事長が石破続投の「切り札」となり得るのか。自民党内の権力争いはまだまだ続く。●関連記事【もっと読む】『石破首相続投の“切り札”か…自民森山幹事長の後任に「小泉進次郎」説が急浮上』で詳報している。


編集部おすすめ