「日本をなめるな!」の威勢の良さはどこへいったのか。5日の参院予算委員会で「予算委デビュー」をはたした参政党の神谷宗幣代表のことだ。


 先の参院選で14議席を獲得した参政党は、この日が衆参通じて初の予算委での質疑。代表の“雄姿”を見ようと、委員会室のオブザーバー席には梅村みずほ議員や塩入清香(さや)議員ら十数人の参院メンバーが一堂に会した。


 異様な雰囲気が漂う中、神谷代表は質疑冒頭で参政党が掲げる「日本人ファースト」について説明。


「排外主義と叩かれたりしたが、自主性を持ちながら他国としっかりした協調関係をつくっていく」と訴えた。しかし、肝心の日米関税交渉に関する質問に「自主性」を重んじる姿勢は皆無だ。


■上から目線のアドバイス


 神谷代表は米国と有利な交渉を進める国にアルゼンチンを挙げ、同国のミレイ大統領とトランプ米大統領との関係に言及。


「ミレイ大統領はWHO(世界保健機関)脱退を表明したり、アメリカの政策にならっていろんなことをやるよと言っている」と力説し、石破首相や赤沢経済再生担当相に「交渉を有利に進めるヒントがある」と上から目線でアドバイスした。


 さらに、トランプ大統領が表明している①SDGs拒否②脱炭素政策廃止③WHO脱退④ウクライナ支援見直し⑤多様性・公平性・包括性(DEI)政策見直し⑥政府によるSNS規制撤廃ーーを列挙し、「関税交渉を進めていくときに、これらがポイントなのではないか」と自説を開陳。石破首相に次のように投げかけた。


「日本の今の政策はかつてのバイデン政権の政策と非常に近い。トランプさんは変えている。6点ほど挙げたけれども、総理として(トランプに)ここは一緒にやろうと提案したり、直接お話ししたりするつもりはないのでしょうか?」


「日本人ファースト」どころか「トランプファースト」むき出しの提案に、石破首相は「国益に資するかどうかは我が国が主体的に判断する」「アメリカから言われて関税の取引材料として使うのは、必ずしも正しいとは思わない」と拒否した。


 トランプ大統領に阿諛追従する外交姿勢のどこに「自主性」があるのかサッパリだが、参政党議員からは時折、「そうだ!」と賛同の声が飛ぶのだった。トランプファーストの参政党が「日本をなめるな!」とイキっている姿は、かなりダサい。


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