「参院選の報告書がまとまった段階で自らの責任を明らかにしたい」──。先月28日の自民党の両院議員懇談会でこう発言していた森山裕幹事長。

当然「引責辞任」の意向を示唆したものだと受け止められた。


 森山氏を委員長として発足した参院選の総括委員会は、地方組織や有識者などから意見を聞き、今月中に報告書をまとめる。それがひとつのメド。木原誠二選対委員長は辞意を表明済みで、2人とも総括後の辞任が既定路線と思われていたのだが……。


「それが、ここへきて森山さんは辞めないのでは、という見方が広がっている。『辞表を出す』と明言したわけではないですしね」(自民党関係者)


 理由は、森山氏が秋の臨時国会に向けて精力的に動いていることだ。自公間では、参院選公約だった給付金の制度設計について、幹事長同士が協議しているという。それに、衆参ともに少数与党になり、これまで以上に野党との合意なしには法案ひとつ成立させられない。連立拡大が囁かれ、野党とパイプのある森山氏の出番だという。


「森山さんは先週金曜、日本維新の会の遠藤さんと会談した。2人は元々、親しい仲。維新は連立政権入りに消極的だった前原共同代表が辞意を表明し、後任には藤田前幹事長が浮上している。

そうなると、連立に前向きな馬場前代表-遠藤前国対委員長の路線が復活する。維新内には『副首都』構想で自公との連携を模索すべきとの意見が出ている。森山・遠藤会談は自公維連立への下地づくりか。だとすると、森山さんは幹事長を続けるつもりなのか」(前出の自民党関係者)


■進退は石破首相と一蓮托生


 相手は維新だけではない。4日の衆院予算委員会は、立憲民主党の野田佳彦代表が石破首相の続投を「後押し」するかのような質疑だった。物価高対策や企業・団体献金の見直しで自立間の協議を持ち掛け、石破首相が「同意する」と応じたのは異様だった。


「事前に話ができていた可能性がある。立憲の安住淳衆院予算委員長と森山幹事長のラインで打ち合わせ済みだったのではないか」(立憲関係者)


 ガソリン減税を含め、物価高対策は秋の臨時国会が本番。国会で2度も先送りされてきた企業献金も答えを出さなければならない。


「森山幹事長が責任を感じているのは事実で、辞める意思はあると思いますが、一方で石破首相は森山さんがいなければ政権運営できないとの思いが強い。石破首相が本格的な続投を視野に入れるならば、森山さんを慰留するのではないか。石破首相と森山幹事長の進退は一蓮托生なのだと思います」(ジャーナリスト・山田惠資氏)


 世論調査で「辞任の必要はない」が「辞めるべきだ」を上回るなど、石破首相は続投の意を強めているとみられる。

2人揃ってまさかの続投?


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 森山幹事長の「次」、石破首相の「次」についても、さまざまな臆測が飛んでいる。関連記事【もっと読む】【さらに読む】などで詳しく報じている。


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