自民党は総裁選を前倒しすることになるのかどうか。


 国会議員や都道府県連に賛否を問う手続きは、お盆明けの来週18日にも始まるが、まず総裁選挙管理委員会の欠員6人を補充しなければならないうえ、具体的な作業は月内をメドにまとめる参院選総括を待ってからとなれば気の長~い話だ。

そのため、「石破おろし」を進めるメンメンには「退陣包囲網」を狭めて石破首相の“自発的辞任”に期待する向きもあるのだが、そこに立ちはだかるのが総理の「外交日程」である。


「20~22日に、石破首相が議長を務めるアフリカ開発会議(TICAD)が横浜で開かれる。これを花道として、参院選の総括が出る8月最終週には退陣表明する、などという話もありましたが、TICAD以降も外交日程は続く。23~24日は韓国の李在明大統領が来日して日韓首脳会談。月末にはインドのモディ首相が来日予定で、29日を軸に首脳会談が調整されている。特にインドは、日米豪印の枠組みである『クアッド』の一角として重要性が高まる国。退陣が決まった首相が相手をするわけにはいかないので、8月中の退陣表明はありえないということになる」(官邸事情通)


 ならば、退陣表明するにしても9月以降ということだが、9月も23日から米ニューヨークで国連総会が開かれる。


「昨年は岸田前首相が、退陣表明後の自民党総裁選の最中に国連総会に出席した。その前の菅元首相も、コロナ禍でビデオ演説でしたが、退陣表明後でした。ですから、石破首相が退陣表明後に国連総会に出席してもおかしくありませんが、今回は訪米するならトランプ大統領との日米首脳会談もあり得る。関税問題がどうなっているかにもよりますが、やはりその時に退陣が決まった首相ではまずい、ということになる」(前出の官邸事情通)



時事通信調査でも自民支持層の65.9%が「辞任すべきと思わない」

 そうなると、反石破派は何としても総裁選前倒しの実施に持ち込むべく動くだろうが、彼らにとって悩ましいのは世論の空気だ。


 両院議員総会で総裁選前倒しの意向確認が決まって以降も、報道各社の世論調査で「石破首相は辞めなくていい」が増え続けているのだ。

12日に公表されたNHKに続き、14日公表の時事通信でも、辞任すべきと「思わない」(39.9%)が、「思う」(36.9%)を上回った。自民支持層に限ると「思わない」が65.9%に上った。時事通信の世論調査は、電話ではなく個別面接方式のため、信頼度が高いとされる。


「お盆で地元に帰っている国会議員が支持者の声をどう受け止めるのか」(自民党関係者)


 世論を追い風に石破首相が続投の意を強めているのは想像に難くない。そこへ目白押しの外交日程……。参院選の総括を受けた森山幹事長の去就や、石破首相が続投するにしても党役員人事を受ける人がいるのかどうかなど“変数”はいくつもあるが、「石破おろし」はますます見通しが立たなくなってきた。


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