前代未聞のデモ「#石破辞めるな」が効いているのか。国政選挙などで3タテを食らった石破首相の続投を求める世論の声がどんどん高まっている。

衆参両院で与党が過半数割れとなって3週間。広島や長崎の平和式典で「らしさ」を出した演説を聞かせた以外、何もやっていないのだから摩訶不思議ではあるが、「石破おろし」はお盆を挟んで沙汰やみとなりそうな気配である。


 NHKの世論調査(9~11日実施)によると、内閣支持率は前月比7ポイント増の38%に上昇。不支持率は8ポイント減の45%だった。「政治空白をつくってはならない」と主張する石破続投の賛否は「賛成」が49%で、「反対」の40%を上回った。自民党支持層に限ると、「賛成」は69%。「反対」の23%を大きく引き離した。


 永田町もお盆休みに入り、議員はこぞって地元に戻っているため、党内抗争は一時休戦。「石破おろし」の動きは休み明けから本格化するのかどうか。


 両院議員総会で反石破の連中が要求した総裁選の前倒し実施については、総裁選挙管理委員会に判断を一任。ただ、定員11人のうち6人が欠員で、補充から手をつける必要がある。総裁選管の逢沢一郎委員長は「『総括』が済まないのに総裁選の手続きを進めるわけにはいかない」と指摘。

森山裕幹事長がトップを務める総括委員会は今月末をメドに報告書をまとめるとしていて、そうこうしているうちに9月である。


「党役員の任期は1期1年、連続3期まで。執行部のメンバーは9月末に任期満了を迎える。そうでなくても森山幹事長の辞任は不可避ですから、9月中の党役員人事、それに伴う内閣改造は避けて通れない。内ゲバは収束せざるを得なくなる」(官邸事情通)



麻生太郎氏を黙らせるポストがある

 石破政権発足の立役者の一人で、党の分裂をことのほか危惧している副総裁の菅義偉元首相は、総裁選に突入すれば小泉進次郎農相を再び担ぐと報じられている。過去の恩讐から石破嫌いで知られる最高顧問の麻生太郎元首相は、岸田文雄前首相も交えた石破首相との重鎮会談で「石破首相では選挙に勝てないという民意が示された」などとメンチを切ったと伝えられるが、どうなるか。


「麻生氏はガツンと言ったものの、つまるところは条件闘争です。幹事長に義弟の鈴木俊一総務会長を横滑りできれば、党全体へのニラミをきかせられるため矛を収める。再登板に意欲を燃やし、キングメーカー気取りで政権構想を触れ回る岸田氏は、菅氏と交代で副総裁に据えて一丁上がり。横浜市で20日から開かれるアフリカ会議(TICAD9)の政府代表(議長代理)に地元の菅氏ではなく、岸田氏が就いたのは、菅氏が封じ込めを念頭に根回ししたともっぱらです。進次郎氏は農相で温存。猶予を得た石破総理がガタガタの党を立て直し、進次郎氏への禅譲を既定路線化すれば万事丸く収まる」(自民党関係者)


 右傾化が加速するよりはマシかもしれない。


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