イスラエルが攻撃を続けるパレスチナ自治区に対し、「国家承認」する動きが相次いでいる。
オーストラリアのアルバニージー首相は11日、9月の国連総会でパレスチナを国家として認める方針を表明。
国連加盟193カ国のうち、パレスチナを国家承認、もしくは承認する予定の国は約150カ国。このままいけば国連安全保障理事会の常任理事国5カ国のうちフランス、イギリス、中国、ロシアの4カ国が足並みを揃えることになる。残る1カ国は親イスラエルのアメリカだ。
パレスチナ自治区ガザの犠牲者は6万人を突破し、イスラエル軍による断続的な攻撃で住民の飢餓も日増しに深刻化している。イスラエルのネタニヤフ首相は10日、ガザでの戦闘について「早く終結させたい」と主張したが、その意味は「ガザの早期制圧」。ハマス襲撃から2年の節目を迎える10月7日までに住民を退避させ、地上侵攻を本格化させる方針だ。
アメリカの顔色うかがい及び腰
ガザ住民のジェノサイド(民族浄化)に拍車がかかる恐れがあるのに、日本政府はアメリカの顔色をうかがい、国家承認に及び腰。石破首相は5日の参院予算委員会で「(ガザの状況は)人道上、とても看過できない」「即時停戦と人道危機を解消するために我が国として可能な限りの努力はしていかねばならない」と強調していたが、国家承認に関しては「何が国際社会のためになるのか、よく考えたい」と保留した。
高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)が言う。
「G7で国家承認に向けた動きが出ている中、日本が共同歩調を取らずにどうするのでしょう。日本政府も他国同様、イスラエルとパレスチナの『2国家解決』をうたうのならば、パレスチナの主権を積極的に認めるのは当然のこと。
石破首相の言う「可能な限りの努力」はトランプ大統領の尾を踏まない努力ではないか。情けない。
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年金積立金の運用がイスラエルによるパレスチナ自治区ガザでのジェノサイドに加担している可能性があるという。●関連記事【もっと読む】『イスラエルにあなたの年金が流れていく…厚労省「ジェノサイド加担投資」引き揚げ“断固拒否”の不可解』で詳しく報じている。