先週8日の両院議員総会で、自民党は総裁選の前倒しについて、党則に従い総裁選挙管理委員会が国会議員や都道府県連の意思確認をすることになった。具体的な動きはお盆明けの来週18日以降になるが、「ポスト石破」でその動向が注目されているのが小泉進次郎農相だ。
進次郎氏は9日からの3連休の間、APEC(アジア太平洋経済協力会議)の食料安全保障担当相会合などに出席するため韓国を訪問。7年ぶりの日中韓農相会合や韓国外相との会談などを行ったが、現地でも注目を集めたようで毎日新聞によると、韓国メディアが「次期総理候補、1位」などと伝えていたという。
もっとも、本人は次期総裁選への出馬の意欲を問う報道陣に「今はコメ政策について大変な転換点を迎えている重要な時期なので政策遂行に専念したい」と慎重だった。これまでも「農相としてできることはいっぱいある。目の前の課題を、スピード感を持って解決することに専念したい」などと発言しており、石破内閣の一員である以上、首相を支えるという一線は守っている。
しかし、だ。もし総裁選が実施されることになったら、進次郎氏は色気十分とみられる。そのヒントが、8月上旬の2つの会談だ。
6日に麻生太郎最高顧問と国会内で約35分間会談し、8日には岸田文雄前首相と国会内で約30分間会談した。議題はコメ政策や参院選大敗を受けた党内情勢と解説されているが、なぜこのタイミングで党内キングメーカーの2人に会ったのか。
「メディアに報じられるのを計算の上で会談しているのは間違いない。進次郎さんの後見役である菅義偉副総裁と相談して、その指示に従ったものだろう」(自民党関係者)
自公維連立シフトへ着々と
石破政権がコメ増産に舵を切ったことで、党内農水族からは農相である進次郎氏にも批判の矛先が向けられている。
「石破首相が続投するにしろ、交代するにしろ、衆参少数与党は変わらず国会運営は困難を極める。ポスト石破で重要なのは、連立拡大で安定政権をつくれるかどうかです。日本維新の会は執行部体制が変わって、連立入りの可能性が出てきた。維新とパイプがあるのは菅さんに森山幹事長。自公維連立を考えれば、最も組みやすい進次郎さんにとって千載一遇のチャンスとなる」(前出の自民党関係者)
表では総裁選に気のないそぶりでも、裏ではチャンスをうかがい、キングメーカー詣で。単純で分かりやすい。
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「備蓄米販売リミット」は8月31日。大量に売れ残った備蓄米に小泉進次郎農相はどう対応するのか。●関連記事【もっと読む】『8.31に「備蓄米販売リミット」が…進次郎農相は売れ残りにどう落とし前をつけるのか?』で詳報している。