まだ終わっちゃいない──。自民党派閥の政治資金パーティーをめぐる裏金事件で、15日、萩生田光一元政調会長(61)の政策秘書が東京地検特捜部に政治資金規正法違反(虚偽記載)の罪で略式起訴された。

この事実が報じられると、ヤフーニュースのコメント欄は瞬く間に投稿が1000件を超えた。裏金事件への関心が依然、高いことがわかるというものだ。


 立件されたのは、牛久保敏文政策秘書(46)。旧安倍派から受け取った裏金1952万円を政治資金収支報告書に記載していなかった。東京簡易裁判所は同日、罰金30万円、公民権停止3年の略式命令を出した。


 検察がいったん、不起訴とした萩生田氏と牛久保秘書は、検察審査会に申し立てられ、萩生田氏は不起訴が確定したものの、秘書は「起訴相当」議決を受けていた。


 2人を告発し、検審に申し立てた神戸学院大教授の上脇博之氏はこう言う。


「裏金事件で検察は、3000万円以上を立件の基準にしていたとみられるが、今回、2000万円を切る額でも立件した。『起訴相当』議決を出した検審の怒りを受け、検察も従わざるを得なくなったのでしょう。一般の人はきちんと領収書を残して確定申告し、税金を納めている。『なぜ政治家には甘いのか』という怒りで、衆参の選挙は与党が過半数を割り込む結果になったのですから」


■萩生田氏の「監督責任」は免れない


 萩生田氏は事務所のX(旧ツイッター)で、政策秘書から辞職の申し出があり、受理したと明かした上で、自身については<今後も自らの職責を全うし、信頼回復に努める>と投稿した。


 だが、ネット上には「秘書だけ。

本体の政治家は逃げ切るのか」「責任をとってお辞めください」などと批判コメントがあふれている。


「秘書が勝手にできるような犯罪ではない。それに会計責任者でもない政策を担当する秘書が、なぜ政治資金を管理しているのか。政策秘書は公務員で国費から給料が支払われる。萩生田氏の『監督責任』は免れません。議員辞職しておかしくない重大責任です」(上脇博之氏)


 改正政治資金規正法が昨年成立し、来年1月施行だが、「なんちゃって連座制」だから政治家への厳罰化にはほど遠い。旧安倍派を筆頭に、自民党内では「裏金事件はもう終わった話」になっているというフザケた状況だ。


 萩生田氏は先月25日に、自身のブログで「出処進退」と題して<政治家の出処進退は自分で決める。先輩から受け継いだ自民党の矜持と伝統は総理も共有していると信じます>と、続投を表明した石破首相を批判していた。


 矜持と伝統……。当然、萩生田氏は受け継いでいるのだろう。見事、ブーメランだ。


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「石破おろし」の自民党内抗争が続いているが、旧安倍派内でも主導権争いをめぐって、自己アピールが甚だしいようで…。く●関連記事【もっと読む】『「高市早苗首相」誕生睨み復権狙い…旧安倍派幹部“オレがオレが”の露出増で主導権争いの醜悪』で詳報している。


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