自民党は19日、党本部で総裁選挙管理委員会の初会合を開き、党則に基づく総裁選の前倒し実施を巡る議論がスタート。前倒し実施には党所属国会議員295人(衆参両院議長を除く)と都道府県連代表47人の計342人のうち、過半数の172人以上の要求が必要となる。
総裁選管の逢沢一郎委員長は終了後に「スピード感が必要だと認識している」と語ったが、初会合で決まったことは前倒しの是非に関する意思確認の方法程度だ。
「議員の意思表示は氏名を明記した上で書面で確認する『記名』方式となる見通し。それ以外に決まったのは、総裁選が前倒しで実施される場合、続投に意欲を示す石破総理本人も立候補可能なことくらい。来週にも取りまとめる参院選の敗因検証の総括報告を待ち、まずは様子見ムード。議員の意思確認はそれからです」(自民党関係者)
会合の中身以上に注目を集めたのは総裁選管の新メンバーだ。この日は、定員11人のうち落選などで生じた欠員を補充。「石破おろし」に加担する議員と「続投」支持の議員のどちらが多いのか。委員の構成次第で総裁選前倒し実施の趨勢に影響を与えかねないからだ。
誰からも文句が出ないように配慮
その顔ぶれは【別表】の通り。委員長で無派閥の逢沢氏を除けば、石破おろしを主導する旧安倍派、旧茂木派、麻生派から計4人、無派閥3人、旧岸田派2人、旧森山派1人。昨年の総裁選で石破首相と高市早苗前経済安保相の決選投票の際、宮下、鬼木、古庄の3氏は各紙の取材に「高市に投じた」と答え、山口氏は前々回の総裁選で高市の推薦人に名を連ねた。総裁選前倒し要求を公言する山下氏を含め、5人は石破続投に後ろ向きとみられる。
「上川元法相の推薦人に名を連ねた国光さんと、河野太郎前デジタル相に近い丹羽さんも、高市さんに投じたとは考えにくい。つまり『反石破』と『親石破』の構成はイーブンとみていいでしょう。石破総理に選管の人選を任された森山幹事長が、誰からも文句が出ないように配慮した結果です。改めて幹事長のバランス感覚に驚かされます」(前出の自民党関係者)
反石破派も「陰の首相」の老獪さにぐうの音も出ず。石破おろしも手のひらの上で踊らされてしまうのかもしれない。
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「石破おろし」の自民党内抗争が続いているが、それに伴い旧安倍派内でも暗闘が繰り広げられている。●関連記事【もっと読む】『「高市早苗首相」誕生睨み復権狙い…旧安倍派幹部“オレがオレが”の露出増で主導権争いの醜悪』で詳報している。