驚いた。辞めないそうだ。
自民党の鹿児島県連が20日党本部で会合を開き、森山幹事長の県連会長続投を決めた。森山氏は参院選の鹿児島選挙区で公認候補が初めて敗北し、その責任を取って県連会長を辞任する意向を今月4日の会合で示していた。しかし、県議団や市町村支部が「党再生のため、政治経験豊富な森山氏にもう一度お願いしたい」と慰留し、一転、続投することになったのだという。
森山氏のこの決定が何を意味するか──。自民党関係者は「やっぱり」と言って、こう続ける。
「参院選で敗北しても続投する、という前例を作った。もちろん、県連会長と総裁は立場が違いますが、それでも『余人をもって代え難し』ということなら、参院選敗北でも続投可能ということになる。森山さんは、石破さんが続投できるように、あえてそういう道筋を作ったのか……」
■「世論調査の結果は、常に謙虚に受け止めなければ」
ま、慰留されて職にとどまるのと、党内から責任論が上がっても「辞めない」と突っ張るのとを、同一に扱うことはできないが、実は19日の記者会見でも、森山氏が石破続投を“後押し”するような発言があった。党役員会後、報道各社の世論調査で石破の辞任をめぐり賛否が拮抗していることをどう見ているか質問された際、こう答えたのだ。
「世論調査の結果は、常に謙虚に受け止めなければいけない。報道各社の分析も見て、引き続き、国民の意見に真摯に耳を傾けて参りたい」
つまり、世論の多数が望めば、続投もアリということか。
森山氏は「辞任が既定路線」とみられてきた自身の幹事長職の進退についても、発売中の週刊文春で「辞任も選択肢にある?」という問いに「選択肢ではあります。
「今月末にまとまる参院選の総括で、どうやら森山さんは、裏金問題が選挙結果に影響したと触れるつもりのようです。総裁選前倒しについても、総裁選管の逢沢委員長は進め方について森山さんと相談しながらやっている。総裁選の賛否の意思確認は『記名』になりそうだし、総裁選はやらなくなるんじゃないか」(別の自民党関係者)
「石破退陣論」が支配している永田町の政治記者の間で出回る「想定される政治日程」情報にも、最近<総裁選がない場合>という記載が出てきている。
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森山幹事長は、自民党総裁選前倒しを議論する選管メンバー構成でも絶妙なバランス感覚を発揮している。関連記事【もっと読む】などで詳しく報じている。