相変わらず党勢好調の国民民主党に、新たな不祥事が発覚した。参院選では、同党の岡野純子衆院議員による街宣用の「標旗」の不正利用が明らかになったが、また“激ヤバ”議員である。


 日刊ゲンダイの調べで問題が分かったのは、6月の都議選で江戸川区選挙区で当選した元区役所職員の天沼浩議員(63)。選挙の準備で、スタッフに膨大な業務を担わせたにもかかわらず、報酬を払わずにトンズラを決め込んでいるのだ。被害に遭ったのは、選挙コンサル企業を運営するA氏。5月1日から都議選告示直前の6月12日までの間、天沼氏のSNSでの戦略的な広報やビラのポスティング、街頭演説の場所のプランニングなど、さまざまな業務を担当した。運営する会社の従業員を天沼氏の街頭演説会に派遣したこともあった。


 連日、昼夜を問わずメッセージアプリ「LINE」でやりとり。天沼氏はA氏にSNS上で受けた批判への対処法を聞いたり、効果的な投稿をするよう指示するなど、多大な業務を頼んでおきながら、報酬を払っていないのだ。


 A氏はこう言う。


「天沼氏の活動を手伝うと決めたのは4月下旬です。国民民主の街頭演説会で顔を合わせ、私が選挙コンサルをしていることを示した上で『お手伝いしましょうか』と聞きました。天沼氏は『お願いします』と答え、当選した暁には報酬も払うと言ってくれた。玉木代表からも『天沼さんを頼む』と言われました。

彼らを信用し、契約書は交わさなかったのですが、その後、何度支払いの相談を持ち掛けても『その点は後々、ゆっくりお話ししましょう』とはぐらかされ続けたのです」


 都議選終了後の6月下旬、A氏は天沼氏と直接面会。支払いを改めて頼んだが、天沼は「(A氏は)ボランティアだと思っていた」と主張し、支払いを拒んだ。納得のいかないA氏は「天沼さんのために懸命に動いたのに」と反論。支払いを求めると天沼は「感謝してますよ」と吐き捨て「とにかく(後でコンサル料の)請求をしてもらって、それに誠意をもってこたえます」と冷たく言い放ったという。


 その後、A氏は1日当たり8000円、累計43日分の報酬計約34万円を請求した。



「払いますよ! 払います」と言っていたのに…

 日刊ゲンダイは7月上旬に天沼氏本人を電話で直撃し、支払う意思があるのかと聞くとこう答えた。


「(作業の)ボリュームが多いということであれば(相応の報酬を)払いますよ! 払います。あの、払いますけど、5月1日から6月12日まで毎日8000円のコンサル料が発生しますというのは、後から言われたことなのでね。そこについて、(A氏と)お互い話し合いをしたいんですけど」


「誠意をもってこたえたい」とも強調したが、現在に至るまでA氏の元に天沼氏からの連絡は一切ない。


 日刊ゲンダイは7月下旬にもメールで再質問したが、今度は「A氏とは何らの契約関係はございません」とだけ回答。とても誠意のある対応には見えず、このままトンズラするつもりとしか思えない。ある地方議員はこう言う。


「SNSの戦略的な運営は専門的なノウハウが必要です。また、A氏の会社の従業員まで派遣してもらっている。これだけの業務を無料でやらせるというのは虫がよすぎます。あり得ないですね」


 玉木代表は「手取りを増やす」と常々口にしているが、天沼氏の行為は明らかに逆行。「手取りから搾取する」新人都議をのさばらせていいのか。


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