石破首相が追加の経済対策策定を週内にも関係省庁や与党に指示する検討に入った。自民党内に「石破おろし」が吹き荒れる中、政策課題の解決を優先する姿勢をアピール。
参院選公約に掲げた「国民一律」から所得制限を設ける方向で修正を進め、自民党内では給付対象を子どもや困窮世帯に絞り込む案も取り沙汰されている。しかし、どう形を変えようが、民意の大勢は「給付よりも減税」だ。どの世論調査でも消費税減税を求める声が6割前後を占める。
しかも自民は2日に参院選大敗の総括報告書をまとめたばかりだ。自民離れを招いた要因のひとつに現金給付の物価高対策が国民に刺さらなかったことを挙げ、〈わが党がいかなる減税にも抵抗するような印象を与える結果になってしまった〉と記していたではないか。
石破首相も「虚心坦懐に受け止める」としおらしかったが、性懲りもなく国民に刺さらなかった「減税よりも給付」の方針を維持。あくまで世論に逆らうつもりなのか。だったら「都合の良い部分だけ民意を切り取るな」と言いたくなる。
政権継続に意欲を示す石破首相の強気を支えているのは、「続投容認」が半数を超える世論調査の結果だ。本人も「世論の声と自民党議員の考えが乖離していいのか」と側近らに繰り返しグチっているというから、なおさら虚心坦懐に減税を求める世論の声に耳を傾けるべきだろう。
そもそも、追加経済対策の実現には財源となる補正予算案の編成が必要だ。衆参両院の少数与党下で、その成立には野党の協力が不可欠。すでに立憲も維新も国民民主も補正予算案に2万円給付を盛り込めば「反対する」と表明している。
「いくら総理が追加経済対策の検討を指示したって、党内議論を束ねる小野寺政調会長は辞表を提出。進退を総理に委ねている立場です。執行部が相次ぎ退任表明する中、誰が責任を担うのかすらアヤフヤで、追加経済対策は絵空事でしかない」(自民党関係者)
石破首相の指示から透けて見えるのは、民意の我田引水と「やってる感」の空回り。そして国民置き去りの政治空白の長期化である。
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