異例の注文が「ポスト石破」レースに波紋を広げている。自民党総裁選に対し、公明党の斉藤代表が踏み込んだ。
「どなたが立候補されるか分からないが、保守中道路線、私たちの理念に合った方でなければ当然、連立政権を組むわけにはいきません」
いくら連立パートナーとはいえ、他党の党首選にここまでクチバシを入れるのは異例だ。右派色の強い高市を推す勢力への牽制と受け止められているが、連立解消までにおわす斉藤氏の注文はもう1人の「軸」にも突き刺さる。
「小泉農相です。衆参両院で少数与党になってから初の総裁選は、改めて野党との連携が焦点となる。小泉氏は日本維新の会の協力を得ようとしているともっぱらですが、公明に『理念に反する』と判断されかねないのです」(自民党関係者)
関西で維新とはギスギスしたまま
問題は大阪における公明・維新のギスギス関係だ。維新は都構想の賛同を得るため、公明と長年、協力関係にあった。しかし都構想は2度の住民投票で否決され、2年前の統一地方選では維新が躍進。大阪府・市両議会で初めて単独過半数を握ると、公明に見切りをつけ、昨年の衆院選では全面対決に転じた。
「公明に譲らず府内全19選挙区に公認候補を擁立。結果は維新の全勝で亀裂は決定的となったが、直後から維新も公明も党勢が衰退し、今夏の参院選ではともに牙城の関西で苦戦した。もはやケンカしている場合じゃないのに、関係修復には至らない」(大阪府政関係者)
進次郎氏は先月の万博視察の際、約3時間もアテンドした維新代表の吉村府知事との親密ぶりをアピール。
「組織の高齢化で陰りが見えるとはいえ、公明票の上積みは選挙に弱い議員には、まだまだ魅力です。特に衆院側は次の選挙をにらみ、公明の意向を意識せざるを得ない」(前出の自民党関係者)
クビを縦に振れない新総裁の誕生で、万が一、公明が連立を離脱すれば野党連携もヘチマもない。公明の注文が本命2人に影を落とす中、前回総裁選で4位につけた林官房長官が消去法的に浮上する展開もあり得る。ある野党議員は「政策に明るく、前任者の辞任に伴う入閣の連続で緊急登板はお手のもの。公明も文句は言わず、野党ともうまくやれるはず」と語り、党内外の評判は上々だ。
公明のドーカツが、総裁選の構図をガラリと変えるかもしれない。
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