ヤケに芝居がかった顔つきだった。
小林鷹之元経済安保相が16日の会見で、自民党総裁選への立候補を正式表明した。
■党改革の優先順位は5番目
掲げた主要政策は①力強く成長するニッポン②自らの手で守り抜くニッポン③結束するニッポン④憲法改正⑤党改革――だったが、通り一遍で目新しさはなし。ある自民党議員が言う。
「変わらなければと言うなら、普通は『党改革』をイの一番に挙げるべきなのに、5番目とはどういう意味なんですかね。肝心の中身も『車座対話』とか『タウンミーティング』とか悠長なことを言っている。本当にヤル気があるのか、微妙じゃないですか」
加えて、小林氏の隣の議員席には、同じ千葉選出の浜田靖一衆院議運委員長と石井準一参院国対委員長が“鎮座”していたことから、「いかにも千葉の“ドン”の傀儡という雰囲気だ」(県政関係者)との声もある。
具体的な政策としてわずかにスポットが当たったのが〈中間層・現役世代の『希望が持てる暮らし』『使えるお金を増やす』【新たな所得税制】〉として打ち出した「定率減税」。所得税額から一定割合を差し引くもので、仮に20%の定率減税を設けた場合、納税額が50万円の人は10万円、40万円の人は8万円の減税となる。高所得者層への恩恵が大きいため、小林氏は「所得制限を設ける」と補足。しかし、減税分の代替財源を示すことは一切なかった。
慶大名誉教授の金子勝氏(財政学)が言う。
「小林氏は会見で円安・物価高とアベノミクスの因果関係を聞かれ『アベノミクスの帰結ではない』と答えましたが、その時点で失格。彼の言う定率減税はアベノミクス同様、財源なきバラマキに他ならず、無責任です。また、『現役世代の所得を増やす』という発想は国民民主党とそっくり。連立を示唆しているのでしょうが、浅はかすぎます」
小林氏は知名度不足で党員票を期待できず「決選投票となっても進出は絶望的」(官邸事情通)とみられている。今回も売名目的の“記念受験”なのだろう。だから、平気で無責任な政策をブチ上げられるのだ。
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