公正取引委員会と内閣官房による、芸能人の移籍や独立を妨害する行為を防ぐための指針が発表され、業界の注目を集めている。公取委は旧ジャニーズ事務所から元SMAPのメンバー3人が独立した際、旧ジャニがテレビに出演させないよう圧力をかけたとして、2019年に事務所を注意し、ジャニの影響力を削いだとされる。
「のん(旧芸名:能年玲奈)は2015年の所属事務所とのトラブルを経て独立し、さらなる飛躍を見せていますし、移籍や独立もジャニーズが圧力をかけていた頃に比べれば、かなり自由化が進んでいます。しかし独立すればギャラが満額入ってきたり、完全に自由に仕事ができるかというと、必ずしもそうなっていない。テレビの制作会社と大手事務所が裏でつながっていて、ギャラをピンハネしたりしている。俳優としてドラマや映画に出演したり、バラエティーにも出ているミュージシャンはデビュー時に所属していた大手の系列事務所、さらに業務提携していた事務所から多重にピンハネされ、ギャラの2割から3割しか入らない状況が続いています。こうした商慣習みたいなものまでを指針で改善できるのでしょうか」とは、業界に長い芸能関係者だ。
「事務所が仕事やスケジュールを管理し、ギャラについては説明すらしていなかった時代は過去になりつつありますが、いわゆる『専属マネジメント契約』が芸能界の主流に変わりはなく、そこで売れるには事務所による育成や活動支援が必要だったりする。事務所には『育ててやった』という意識があるから、売れて独立となると『恩をあだで返しやがって』となってこじれたりする。契約期間やギャラの取り分を明確にして、何でも透明化するという現代社会ですが、そういうことに対してタレントが物申すと生意気と取られかねない。いまだに『後ろ盾』とか『系列』がモノを言う業界ですので、どんなに才能豊かなタレントでも、そうしたシガラミに縛られてしまう世界なのです」(同)
■テレビ局もギャラのピンハネに加担し、総務省も関与しているという闇…
俳優の山田孝之(41)は9月4日に行われたNetflixの10周年記念イベントで「日本の俳優ももう少しギャラを上げてほしい」とコメントしたと報じられたのも、こうしたピンハネ問題と無関係ではないのかも知れない。
「芸能界のピンハネは確かにひどい」と某広告プロデューサーがこう言う。
「この問題で一番透明性を確保できるポジションにあるのは、テレビ局ですよね。
こうした闇が深い日本の芸能界に公取委がどれだけ光を当てることができるか、お手並み拝見である。
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NHKを動かすには、やはり受信料をつつくのが良いだろう。関連記事【もっと読む】NHK春の改編で旧ジャニ排除し『新しい地図』は残留…ファン激怒で“受信料ボイコット”宣言」…では、昨年春に発生した同局の改変に端を発する騒動について伝えている。