【その他の写真:2025年1月13日、成田空港第一ターミナル「肉料理 やきすき やんま」プラオリティパス メニュー】
日本では、文明開化の味がすると明治の時代に広まっ牛鍋。その後、薄切りの肉が登場する『スキヤキあれこれ』あるが、結論から言えば、スキヤキに正解はない。おいしければそれでいいのだ。
現代では、スキヤキに入れる肉は牛肉と、ネットのレシピには堂々とある。しかし、筆者の住む東北地方では豚肉だった。さらに、牛脂を引いて肉の味を出してわりしたでどうのこうのという作り方を知ったのは、大人になってからかなり過ぎてからだったと思う。
家族も多かったと思うが、スキヤキに入れる春菊を筆頭とする野菜全部と肉を大鍋に入れて、煮立ったらお椀にすくって食べるのがスキヤキだった。ま、豚肉にしても、人が多ければ単価も高くなるので献立で出てくる回数も少なかったし。
それでも、高校ぐらいまでのスキヤキにまつわる思い出は2つほどある。一つは、仙台に行くと「佐利総本家」で母とスキヤキを食べる。
もう一つ。町々にスキヤキ屋があって、単価が安かった。高校の1期先輩たちは、女子高生だからそこはあんみつだろうと思われるときに、スキヤキ屋でお祝い会をして気軽に使っていたのだ。私たちの学年はビビりなので、とうとう行く機会がなかったけれど、17歳の小娘がスキヤキ屋で宴会ができるくらい安かったのだ。
スキヤキには、関東風で白い砂糖を使う味のものと、ザラメを使う関西風がある。
冒頭で書いたが、「スキヤキ」は漢字で書くと「鋤焼き」。その作業で使う鋤の上で焼いて食べる簡単な、今でいうバーベキューや芋煮の親戚のようなものだった。今でこそ、牛肉でないとになっているが、豚でも鳥でも、他の家畜や何なら熊でも肉ならいい。
庶民に近い、肉食文化だったのだ。なぜ鋤を使ったのか。
良質なたんぱく質をエネルギー源として摂取するには、外で殺し、鋤の上で焼いて食べる。家の中には、四つ足の動物の負の血は入らない。
大金持ちの奥様がお上品にうんちくたれながらスキヤキ食っているけれど、庶民に一番近い食べ物に、今は大枚支払っている。
スキヤキに正解はない。うまかったら追加しても食え。
【編集:af】