日本の観光業はインバウンドで絶好調だが、ある漫画の「予言」が一部の訪日観光客の動向に影響を与えている。漫画家たつき諒氏の作品『私が見た未来 完全版』(令和4年刊行)には、「本当の大災難は2025年7月にやってくる」との記述があり、これが香港を中心に広まっている。
たつき氏は平成8年に出版した漫画で東日本大震災を「予言」したとされ、一部で注目を集めた経緯がある。

その他の写真:香港の空港

 さらに、香港の有名な風水師が「6~8月に日本の地震リスクが高まる」と発言したこともあり、日本旅行を見合わせる動きが出ている。香港の航空会社は、仙台や徳島への便を減便する決定を下したが、その背景には「予言」を信じる人々の影響があるとされる。

 一方で、専門家はこうした「予言」に科学的根拠がないことを強調している。気象庁は「日時と場所を特定した地震予知はデマと考えられる」としており、宮城県知事も「非科学的な憶測が観光業に影響を与えるのは問題」と懸念を示した。

 それでも、SNSを通じて広まる情報は人々の行動に影響を与え続けている。日本国内でも、一部の富裕層が「予言」を理由に退避を検討しているとの報道もある。今後、こうした憶測がどのように観光業や社会に影響を及ぼすのか、注視する必要があるだろう。
【編集:HN】
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