【その他の写真:飛行中の航空機から】
特に注目されるのは、エア・インディアの墜落事故に関する新たな情報だ。この事故では、パイロットが意図的に燃料供給を遮断した疑いが浮上しており、さらにパイロットが精神的な問題を抱え、早期退職を計画していたとの報道もある。これは、パイロットの心の健康が、単なる体調不良を超えて、安全運航そのものを脅かす可能性を示唆した。
過去を振り返ると、パイロットの精神状態が事故に関連しているとされた、あるいは強く疑われた複数の悲劇的な事例がある。
* 1982年の日本航空350便墜落事故:福岡発羽田行きのDC8型機が、機長の精神疾患で、逆噴射操作により墜落し、多数の死傷者を出した。
* 1997年のシルクエアー185便墜落事故:機長の意図的な操作によるものと広く疑われている。
* 1999年のエジプト航空990便墜落事故:副操縦士の意図的な操作によるものと結論付けられている。
* 2013年のモザンビーク航空470便墜落事故:機長が意図的に墜落させたものと結論付けられている。
* 2014年のマレーシア航空370便失踪事件:未だ行方不明だが、パイロットの意図的な行動が可能性の一つとして議論されている。
* 2015年のジャーマンウィングス9525便墜落事故:副操縦士が精神疾患を抱え、意図的に墜落させたとされている。
* 2022年の中国東方航空5735便墜落事故:現在も事故原因は調査中だが、パイロットの意図的な操作が可能性の一つとして指摘されている。
これらの悲劇は、パイロットの心理的スクリーニングとサポートの重要性を浮き彫りにした。
このような事態を防ぐため、専門家は二つの主要な対策を提唱している。一つは、パイロットに対する健康診断の厳格化だ。身体的な健康だけでなく、精神的な側面についても、より包括的で徹底した評価基準が求められる。特に日本のような高水準の診断基準が国際的に広まることが望ましいとされている。もう一つは、コックピットドアのアクセスシステムの再検討である。テロ対策として強化されたコックピットドアが、意図的に外部からのアクセスを遮断する目的で悪用されることを防ぐため、緊急時には外部からコックピットへのアクセスを可能にする仕組みの導入が検討されている。
パイロットは、乗客の命を預かる重要な役割を担っている。そのため、彼らが心身ともに最高の状態で職務を遂行できるよう、航空業界全体でパイロットの心の健康に対する理解を深め、適切なサポート体制を構築することが急務だ。定期的なカウンセリング、ストレスマネジメントプログラムの導入、そして問題を抱えるパイロットが安心して助けを求められる環境作りが、これからの空の安全を支える上で不可欠となるだろう。
【編集:NH】