ナレンドラ・モディ首相がセカンダラバードで「国民の痛み」を伴う耐乏生活を求めてから、5月14日で4日が経過した。主要都市のオフィス街からは人影が消え、オンライン会議の通信量が急増するなど、表面的には「愛国的な協力」が広がっているように見える。
しかしその裏では、成長の果実を享受し始めたばかりの特定産業が、崖っぷちに追い込まれつつある。

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 【事実】産業界の迅速な呼応と「デジタル回帰」
演説からわずか48時間以内に、タタ・モーターズやメルセデス・ベンツ・インディアなどの自動車大手、ゴールドマン・サックスやデロイトなど外資系企業が、不要不急の出張を原則禁止し、ハイブリッドワークへの完全移行を決定した。IT業界団体NASSCOMも「燃料節約はITインフラ維持と国家安全保障に直結する」と声明を出し、会員企業に在宅勤務の徹底を促している。これらは首相の要請を「事実上の命令」と受け止めた産業界の防衛本能の表れだ。

 【推測】航空・観光業界を襲う「8割の蒸発」
一方で、要請の直撃を受けた業界の打撃は深刻だ。航空関係者の推計では、演説後4日間で海外旅行の新規予約はほぼゼロ、既存予約のキャンセル率は80%を超えた可能性がある。特にデリーやムンバイ発の欧米・中東路線は壊滅的だ。海外挙式を扱う旅行代理店や高級ブランド輸入業者は、数ヶ月以内に資金が枯渇し廃業に追い込まれる恐れがある。富裕層の消費が凍結されれば、数百万人の雇用が失われるのは時間の問題だ。

 【事実】「金」市場の沈黙と食卓の変化
インド人の資産形成の柱である金取引も、政府の監視強化で主要都市の宝飾店街から客足が消えた。食用油の消費削減要請を受け、レストランチェーンでは揚げ物メニューの縮小や価格改定が始まっている。生活の隅々にまで「有事の論理」が浸透し始めたことを示す動きだ。


 【推測】「愛国心」による我慢の賞味期限
選挙勝利直後の熱狂の中、国民は「国家への義務」を受け入れている。しかし物価上昇が続き、在宅勤務による電気代負担や海外旅行の夢を絶たれた中間層の不満が蓄積すれば、この協力体制は数ヶ月で崩れるだろう。特に農業分野での「肥料半減」が収量減に直結すれば、政権の支持基盤である農村部からも反発が起きるのは必至だ。愛国心という精神論が、空腹や経済的困窮という現実にどこまで耐えられるか。インド経済は今、かつてないストレステストの渦中にある。
【編集:af】
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