フランチャイズは、店舗網を広げる有力な仕組みである。日本フランチャイズチェーン協会の最新の2024年度調査では、国内のフランチャイズは1,291チェーン、約25万店に及ぶ。
規模が広がるほど、一店舗で生まれた顧客体験を異なる地域でも再現できるかがブランドの信用を左右する。数字だけを追えば教育や運営のばらつきが生まれるため、地域に合わせた判断を残しながら、共通の理念と品質を守る仕組みが欠かせない。

【その他の写真:トレーニングイメージ】

パーソナルジムでは、この再現性がトレーナーの働き方に直結する。広告、採用、数値管理、顧客対応を一人で抱えれば、優れた指導者でもセッションへ注げる時間は減っていく。店舗を持つことと、指導品質を継続して守ることは同じではない。現場の専門性を支える本部機能が、事業を続けるための条件になる。

トレーナーと本部の役割を分けながら全国展開を進めているのが、THE PERSONAL GYMだ。同社は2026年8月20日時点で、直営21店舗、FC36店舗の計57店舗を展開している。成長を支えるのは、看板を貸すだけのFCではなく、Webマーケティング、採用、研修、店舗運営、SVによる数値確認までを組み合わせた支援体制である。

本部の仕組みは、完成したパッケージを外部へ一斉に販売して生まれたものではない。創業期には、代表や幹部の考え方に共感したスタッフや、既存のつながりを持つ経営者が参画し、店舗が一つずつ増えていった。個人でジムを運営していた人や、別の形で事業を行っていた経営者が、理念と支援体制に共感して加わった例もあるという。
人との関係から始まった店舗を、地域で継続できる事業へ変える過程で、現在の本部機能が磨かれてきた。

本部が集客や採用、運営を支えることで、現場には顧客へ向き合う時間が戻る。個人経営であれば、セッションの合間に広告、問い合わせ、採用、管理まで処理しなければならない。THE PERSONAL GYMでは、Webマーケティングや採用を本部が支え、SVが店舗の数字と課題を確認する。現場で起きた問題をオーナーと本部が共有し、改善策を次の運営へ戻すことで、トレーナーは本来の専門領域へ集中しやすくなる。ブランド名を使えること以上に、この役割分担が参画の価値を形づくっている。

ただし、支援を受けられるからといって、オーナーが受け身でよいわけではない。同社が重視するのは、資金を出して運営を任せるだけの人ではなく、スタッフやSVと対話し、店舗へ時間と熱量を注ぎ、企業理念を共有できる経営者だ。本部とオーナーのどちらか一方だけが動いても、安定した顧客体験はつくれない。

契約条件に加えて価値観まで確かめる方針は、加盟数を急いで増やすモデルとは異なる。短期的には候補者を狭める可能性があるものの、店舗で判断に迷った時、共通の基準を持てるかどうかが長期的な品質を左右する。顧客が受け取るサービスは、契約書そのものではなく、オーナーとスタッフが日々重ねる選択によって形づくられるからだ。


理念を共有する相手と広げるからこそ、100店舗構想にも二つの意味が生まれる。一つは、フィットネスを始める入口を全国へ増やすこと。もう一つは、店舗の増加によって店長、エリアマネージャー、SV、教育担当など、働く人の次の役割を生み出すことだ。事業の拡大を、スタッフのキャリア創出へつなげようとしている。

店舗数が増えれば、本部に求められる役割も変わる。開業支援だけで終われば、教育や運営のばらつきが成長に追いつかなくなるためだ。各地の数字と顧客の声を本部へ集め、成果が出た方法と見直すべき課題を別の店舗へ戻す。理念を共有するオーナーを選び、開業後もSVと改善へ伴走する方針は、この循環を機能させる土台となる。

第三者の立場から見れば、同社のFC戦略を評価する基準は店舗数だけではない。加盟後にオーナーと本部がどの程度対話を続け、スタッフの定着や顧客の継続、店舗ごとの品質を守れているかが重要になる。57店舗で蓄積した運営知識を100店舗へ広げても再現できれば、フィットネスの入口と働く人のキャリアを同時に増やすモデルとして、より強い説得力を持つだろう。

取材を通じ、同社のFC戦略は、店舗という箱を増やす事業ではなく、理念を共有する経営者と人材を地域へ増やす試みだと感じた。
加盟後の対話や改善が続き、57店舗で築いた品質を100店舗でも保てるかが、次の評価を左右する。運動を始める人と、フィットネス業界で長く働く人の双方にどのような入口をつくるのか。その広がりに注目したい。
【取材/執筆:Y.U】
編集部おすすめ