【その他の写真:アソーク交差点も封鎖された2014年5月末のクーデターまで続けられた座り込みデモ】
バンコクと地方の格差は、昔に比べると表面的には縮小されているかのように見える。しかし、それは地方都市でも携帯や衛星テレビが普及し、中心部には大型ショッピングセンターも次々に建設されるなど、インフラ面での差が縮まったに過ぎない。物質的、インフラ的な差が縮まっても、バンコクと地方の間に横たわる意識の溝は、まだまだかけ離れている。
この地図は、バンコク人が、その地域をどう見ているのを例えた言葉で書き表しており、地方との意識差を上手い具合に表している。東北部コンケーン県、ウドンタニー県周辺には大きくRED SHIRT(赤シャツ)。その東のムクダハーン、ヤソートン県は、まだタイでもあるにも関わらずラオスとされている。また同様にスリン県はカンボジアと書かれている。
国内旅行が一般的になったタイでも、バンコク人の地方に対する興味は限られたものであり、基本的には何も関心がないということが浮き彫りになっている。新聞社のインタビューに地図の作者は、特に批判をすることが目的ではない。と強調しつつ、
「バンコク都民1000万、特に中間層以上の人々が地方に対して潜在的に思い描いていることを素直に表しただけ。」と語った。
またタイのとある国立大学准教授は、「かつて初めて東北部の貧しい村を訪ねた時、そこが同じタイだとは信じられなかった。
先ほど10代の歌手がステージでの演出がけしからんとネットを騒がせたが、その問題もこれと同じ視点による問題と言え、東北部の音楽ステージでは極当たり前の演出として繰り広げられていたものが、バンコク人の目に留まった時に、これはけしからんとして、一方的にさらし者として吊るし上げられてしまった。しかし、この歌手にはその後、批判を上回る応援も寄せられ、順調に歌手活動を続けている。
こうした意識の格差は、タイを二分する黄色と赤色の政治紛争にも陰を落としており、バンコク人が普段は心の奥底にしまってある差別意識として暴発する事もある。それは、クーデターまで続けられた座り込みデモの根源となっていたのだ。今回こうした地図が出回っているのは、どちらかの隠れた不満が鬱積していることの表れなのかも知れない。
【翻訳/編集:RD】