【その他の写真:「プーインコンニーチューメー」(その女性の名は母なり)ビデオクリップの場面より(Rサヤーム 提供)】
これまで母を題材にした歌も多く発表されており、タイのCMなどは感動を誘うものが多く、世界的な評価も高い。
「わたしは、この歌詞を自分で見た事実を基に書いたんです」
そう曲の出だしに語っているのは、大手音楽事務所、Rサヤーム所属のプロデューサー、パーン・プラガーシット氏。その曲「プーイン コンニー チュー メー(その女性の名は母なり)」では彼本人が、シンガーソングライターとして、トツトツと歌い上げている。
ある日、歌詞を書くために訪れる行きつけの喫茶店の前で、ゴミをあさっている老婆を見かけたパーン氏。周りの人はその老婆を「キチガイ婆さん」と呼んでいた。老婆がどこから来た誰なのかは誰も知らなかった。
その話しを聞いたパーン氏に、彼女のストーリーが思い浮かんだ。それが歌詞とビデオにそのまま映し出されている。パーン氏自身、歌詞を書きながら、涙で原稿紙が濡れ、今でもステージで歌う時には涙が溢れて来ると言う。
不意に出て行った切り帰らない子どもを捜し続ける母。その想いのなんと深い事か。
しかし母の心は平常心を保つ事ができずに壊れ、今や子犬をかつての子どもとして、時折お乳をあげる仕草をしてる。
ビデオでは、子どもとの再会で幕を閉じているが、現実にはどうなっているのだろう。パーン氏もそれはわからないそうで、老婆のその後を気にかけている。
タイの歌謡曲を解説しているブログ「ルークトゥンタイランド!」では、そのビデオと歌詞の対訳。そして、制作にまつわるエピソードが詳しく掲載されている。
【執筆:そむちゃい吉田】