映画「水の中で深呼吸」八条院蔵人演じる昌樹

映画『水の中で深呼吸』が2025年7月25日より順次公開中。

水泳部に所属する高校1年生の葵(石川瑠華)は、同級生の水泳部員・日菜(中島瑠菜)に惹かれる気持ちを誰にも言えず持て余していた。

しかし、幼なじみで同じ水泳部の昌樹(八条院蔵人)に対しても友情以上の感情が芽生えていることに気づいてしまう。恋と友情の間で葛藤する高校生の青春を、みずみずしい映像で描いた作品だ。

今回は、葵の幼なじみである昌樹を演じた八条院蔵人にインタビュー。役との向き合い方や、撮影中のエピソードについて語ってもらった。

――オーディションを受けるときに感じたことや、合格してから脚本を実際読んでみての感想はいかがでしたか?

「オーディションを受けた時の昌樹は、孤独感が強く、ひとりよがりな印象があったのですが、実際に台本をいただいたら昌樹が少し優しくなっていて、そこを監督とも話しながらチューニングしました」

――役作りにあたって取り組んだことはありますか?

「台本をいただいてからクランクインまで、自分の気持ちを言うことを控えました。コミュニケーションで必要なことだとは思うのですが、昌樹の不器用さを自分で手に入れたかったんです。僕自身だったら言えることを昌樹は言えないので、その時に感じるもどかしさを経験したいと思って、人との関わり方を変えました」

――昌樹という人物を理解していないとできない役作りですね。昌樹は自分と近いところがあると感じますか?

「自分の本当の気持ちを言ってしまったら、今まで積み上げてきた時間や関係性が壊れてしまうかもしれない恐怖心は僕もあります。友達と接するときに、何を言うかじゃなくて、何を言わないかを意識するのですが、それは昌樹の中にも無意識に存在する思考だと思います。人に対するスタンスや悩みみたいなものは共感できるところがありますね。だけど昌樹ほど人付き合いについて不器用でないかもしれません(笑)」

八条院蔵人が映画『水の中で深呼吸』で臨んだ役作りを語る「彼が僕に与えてくれた気持ちをつないでいきたい」
映画「水の中で深呼吸」
映画「水の中で深呼吸」

――例えば、昌樹が同じクラスにいたら、仲良くなれそうですか?

「昌樹がクラスにいたら、僕はすごく元気に装って仲良くなろうとしてしまうかもしれないです。他の人がいる場なら、みんなが楽しくて明るい場になってほしいと思ってしまうので。

でも、仲良くなるにつれて、昌樹の性格と明るく振る舞っていた僕の性格が逆転してしまうかもしれないです」

――映画をご覧になった感想と、お好きなシーンがあれば教えてください

「安井監督の作品は優しいなと思いました。もちろん登場人物同士の衝突や摩擦が起きますが、終わった後に登場人物たちを愛せるというか、応援したいと思わせてくれるんです。やってよかったと思いました」

――この映画に参加してご自身の中で変わったことはありますか?

「昌樹を演じている間は今までで一番きつかったです。彼のことを知ろうとすればするほどわからなくて、体づくりをしていたのもあって、精神と体のバランスをとるのが大変で、撮影中も気を遣いながら演じていて息苦しかったです。でも、完成した映像を見たら、その息苦しさや大変だったことが、ちゃんと他の登場人物にいい影響を与えられていると思えました。今は昌樹を大切に思えますし、これからも彼が僕に与えてくれた気持ちをつないでいきたいです」

――葵や他の登場人物に対して、撮影中に感じていたことと、実際に映画を観て感じたことは違いますか?

「撮影中もうらやましかったし、映画を観た後もうらやましいなと思います。撮影中、後輩や同級生と関わってはいましたが、心は孤独な感覚が常にあって...終わってからスクリーンで、葵たちや登場人物がみんなで笑っていたり喧嘩していたりする姿を観て、僕自身が混ざりたいなと思いました(笑)」

――主人公・葵を演じる石川さんとお互いに意識していたことや、エピソードはありますか?

「お互いに距離感を意識して取り組んでいました。幼なじみという、近すぎず遠すぎない距離のバランスがすごく難しくて、お互いが繊細な役どころだったのもあり、意識していましたね。葵と2人でいるシーンや握手するシーンなど大変だったシーンも多いのですが、あの空気感は青春だったなと思います。あと、撮影期間に入る前にみんなで水泳の練習をしました。競技用のプールまで行って、プロの方たちがいる横で飛び込みの練習をして、本物の水泳部さながらでした」

八条院蔵人が映画『水の中で深呼吸』で臨んだ役作りを語る「彼が僕に与えてくれた気持ちをつないでいきたい」
映画「水の中で深呼吸」八条院蔵人
映画「水の中で深呼吸」八条院蔵人

――今後どういう俳優人生を送っていきたいですか?

「日本を代表する役者の一員になるのが目標なので、その気持ちと責任感を持って、今後もお仕事に取り組んでいきたいです。僕自身、落ち込んだ時に映像作品で救われた経験があるので、もっともっとテレビや映画などに出演して、観ていただいた方の気持ちを少しでも晴らせるような作品に参加していきたいですね」

――最後にこの映画を観る方にメッセージをお願いいたします

「この作品は、言いたいけど言えないもどかしさを感じている人に寄り添ってくれる映画でもあるし、もともとそういう気持ちを抱いていた人が見ても、懐かしさを感じる映画でもあります。

青春の映画共感できる映画でもあると思うので、ぜひ観ていただいて懐かしい気持ちになってもらえたら嬉しいです」

文=HOMINIS編集部

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