世界30以上の国と地域で累計発行部数2500万部を突破する日本発の名作漫画「寄生獣」を韓国で実写ドラマ化したNetflixシリーズ「寄生獣 -ザ・グレイ-」(全6話)。
人間に擬態して生きる"寄生生物=パラサイト"が韓国に襲来していたら...という新たな発想から誕生した本作の製作決定が報じられるや、日韓のみならず世界中から熱い視線が集中。
「寄生獣 -ザ・グレイ-」は、人間の脳を食い尽くし全身を支配して"同種"を増やしていくパラサイトとの戦いの物語。日本で製作されたアニメ「寄生獣 セイの格率」(2014年)や実写映画「寄生獣」(2014年)が原作と同じく高校生の泉新一とその体に寄生するパラサイト・ミギーの物語であるのに対し、今作の舞台は韓国。主人公チョン・スイン(チョン・ソニ)と、自身の顔の右側に寄生したパラサイト"ハイジ"が繰り広げる新たなストーリーだ。
母親に捨てられ、父親に暴力を振るわれる幼少期を過ごしたスイン。大人になった今も天涯孤独な人生を送る彼女は、韓国にパラサイトが襲来した際、その身体を"ハイジ"に乗っ取られる。
スインの身体に何かあれば、ハイジも滅ぶことになる。スインとハイジ、1つの体に宿った2つの魂が、生き残りを懸けてパラサイトたちとの闘いに挑んでいく。
もともと原作を「教科書のような存在だった」と語るほど敬愛していたヨン・サンホ監督。そんな彼が脚本作りから関わったとあって、新たに創作されたストーリーでありながら原作への深いリスペクトを感じる作品に仕上がっている。
顔が割けてその中からグロテスクな"触手"が飛び出すパラサイトの造形は、ジャンルもので高い技術力を誇る韓国エンタメの真骨頂。"怪物"たちのリアルかつダイナミックな映像が、パラサイトの恐怖を生々しく表現している。
そして圧巻なのが、スインとハイジの"2役"に挑んだチョン・ソニの演技力。ハイジの意識が表に現れるのは、スインが意識を失っている間だけ。パラサイトに寄生され混乱するスイン、そして、自らの生存のため宿主(=スイン)を守ろうとするハイジを、声色と表情をガラリと変えて鮮やかに演じ分けている。
宿主を守るという本能に忠実なハイジが、結果としてスインの孤独を癒やしていく。全く異なる"種"である2人の間に奇妙な絆が芽生える過程を、ソニが繊細に演じ切っている。原作を未読でも、この鮮烈な"入れ替わり演技"が存分に楽しめる仕上がりになっているのだ。
最終話(第6話)のラストには、原作では主人公として描かれる"泉新一"という名の記者も登場。しかも、その新一役を菅田将暉が演じているというビッグサプライズが大反響を呼んでいる。
文=酒寄美智子
<配信情報>【Netflix】
Netflixシリーズ「寄生獣 -ザ・グレイ-」独占配信中