2014年のテレビアニメ放送以来、10年以上にわたって愛されてきた『魔法科高校の劣等生』シリーズ。その原作小説でも人気の高いエピソード「四葉継承編」が、劇場版 「魔法科高校の劣等生 四葉継承編」として2026年5月8日(金)に公開される。

本作では、司波達也と司波深雪が、四葉家の元旦の集い〈慶春会〉へと招かれるところから物語が動き出す。魔法界において特別な立場を持つ"四葉家"に焦点が当たり、これまで断片的に語られてきた司波兄妹の出生や、その背景にある秘密が徐々に明らかになっていく。学園を主軸としてきたこれまでのシリーズとは異なり、家系や血縁、継承という重いテーマが前面に押し出されるのが本作の特徴だ。

今回、司波達也役の中村悠一、司波深雪役の早見沙織、四葉真夜役の斎藤千和が登場。作品の"抜け感"を含んだ魅力から、「四葉継承編」を演じる手応え、そして長年積み重ねてきたキャラクター同士の距離感まで、三者それぞれの言葉で振り返ってもらった。

中村悠一×早見沙織×斎藤千和が語るお互いの魅力 劇場版 「魔法科高校の劣等生 四葉継承編」で確かめた信頼

(C)2024 佐島 勤/KADOKAWA/魔法科高校四葉継承編製作委員会

――2014年から始まったテレビアニメシリーズが10年以上続き、原作小説でも人気の高い「四葉継承編」が劇場版として公開されます

中村「細かくどういう話をやるかまでは知らなかったので、最初は映画でどのエピソードをやるんだろうという感覚でした。映画でやる以上、あまりにボリュームが大きい話だと駆け足になってしまうので、今回のエピソードはボリューム感としても丁度良く、むしろ映画でやるに合っている話なのかな、という印象がありました」

早見「劇場版をやるという話自体は結構前に伺っていました。『四葉継承編』を映像化するとなって、直近までのシリーズは学園の空気感が大きかったので、収録現場の雰囲気も含めて全然違うものになるんじゃないかなと思って。ついに来たかという気持ちでした」

斎藤「私が知ったのは昨年のお正月の恒例のお正月動画の少し前後だったと思います。最初はやるんだくらいの感じだったんですけど、四葉家に焦点が当たったものが映像化されるのはうれしかったですし、劇場で長い時間で観ると面白くなるタイプの話だなとも思いました。結構攻めたお話なので、"なるほどね"と思いました(笑)」

中村悠一×早見沙織×斎藤千和が語るお互いの魅力 劇場版 「魔法科高校の劣等生 四葉継承編」で確かめた信頼
中村悠一×早見沙織×斎藤千和が語るお互いの魅力 劇場版 「魔法科高校の劣等生 四葉継承編」で確かめた信頼

――改めて、みなさんが考える『魔法科高校の劣等生』シリーズの魅力を教えてください

中村「どこが魅力なのかは、受け取ってくださるみなさんそれぞれにあると思うので、送り出す僕たちにもわからない部分もあるのですが、12年前に第1シーズンをオンエアで追っているときに思ったのは、僕たちは真面目にやってるけど、ちょっと変なおもしろさがあるなということでした。シュールギャグというほどではないんですけど、作品の中も本人たちも役者も真面目にやっているのに、観るとおかしいだろうと思う瞬間がある。

今回も最後の和室は......おかしくない?」

早見「和室はおかしいですね(笑)」

中村「あれって本家の中の場所だよね。用意してあるんだろうけど、さっきまで洋館だったのに当たり前みたいに入っていく。やっているときは何も思わないんですけど、観ると"あれ?"ってなるところがある。でもそれを突っ込むんじゃなくて、そこ込みで楽しんでもらえているのは、第1シーズン目からずっとある感覚です。そういう要素も魅力なんだろうなと思います」

早見「重厚な世界観の中に、ちょっと抜け感がある。そのバランスが個人的にはすごく好きです。それと、『魔法科』はここを楽しむというポイントを観る人が選べる作品だと思っていて。魔法の細かい設定をしっかり追いたい人もいれば、お兄様を見ている人もいますし」

中村「第1シーズンは説明が多いんですよね。魔法式がどうしたって言っているところもあれば、ドラマに直接関係ない説明もある。でもそれを言うから面白い、みたいなところがあるんです。SFとしてやっている部分もあるので、そこを、そぎ落とすこともできるけど、そぎ落とさずにやっているから、いろんな楽しみ方が成立するんだろうなと、今の話を聞いて思いました」

斎藤「魔法という非現実的なものを描いているのに、学校の描写や世界の勢力バランスにリアリティがあるんですよね。骨格がしっかりしているから、ちょっとシュールな瞬間があってもブレない。

どんな楽しみ方をしても、物語の枠の中で楽しめる感じがあるのが魅力なのかなと思います」

中村悠一×早見沙織×斎藤千和が語るお互いの魅力 劇場版 「魔法科高校の劣等生 四葉継承編」で確かめた信頼

――斎藤さんは、今回は過去にないほどセリフ量も多かったですよね。四葉真夜を演じる上で意識したことはありますか?

斎藤「中村くんと二人で収録したんですけど、ずっと"頑張れ!"って応援してくれてました(笑)。普段はお二人が説明してきた世界観を、今回は私がわりとガッツリ説明するパートが多くて。個人的には『これって本音なの?嘘なの?』みたいな難しいシーンが多かったので、先生に聞いたりしながらやりました。最初は『これはどれが本当なんですか?』『これって本当に言ってるんですか?』みたいな確認もして、精査しつつ演じました。難しい言葉の羅列が多いので、聞いてわかりやすく伝えることも意識しました」

――中村さんは、斎藤さんのパートを近くで受けていていかがでしたか?

中村「僕は基本的に話を聞いている受け手のポジションだったのですが、出演者として見ていても、斎藤さんは大変そうだなと思いましたし、斎藤さんが言っていたように、真夜って解釈の選択肢が無数にある。なので、役者が持ってきた役作りだけではなく、スタッフさんたちと打ち合わせしながら詰めたんだろうなと思います。完成したものを観ると、真夜の本音がどこにあるかは、観ている側が想像できる余白がある。その方がいいキャラクターなのかもしれないとも思いました」

斎藤「最終的に、私もわかってないんです(笑)」

中村「その方がいいと思うんですよ。受け手次第で、善にも悪にも......善にはならないかもしれないけど。私怨だけで動いてるのか、家のためなのか、姉妹の情なのか」

斎藤「姉妹のシーンもあるので、作中では憎みきれないところが出てくるのかなと思います」

中村悠一×早見沙織×斎藤千和が語るお互いの魅力 劇場版 「魔法科高校の劣等生 四葉継承編」で確かめた信頼
中村悠一×早見沙織×斎藤千和が語るお互いの魅力 劇場版 「魔法科高校の劣等生 四葉継承編」で確かめた信頼

――達也と深雪の関係性も、シリーズを通して積み重ねてきました。今回の劇場版は出生に関わる要素もありましたが、お二人が意識したことを伺えますか?

早見「お兄様はお兄様で一本ブレないところがあって、その横で深雪が『うわあ......』ってなっている、今回は特にそういう構図が多かったと思いますし、頭を少し過ぎたあたりから、深雪が一人で抱え込んでしまうシーンが結構多かったんです。

だからこそ、ここまでの思いを封じ込めながら常に隣にいたんだ、というのは、原作小説を読まずにアニメで追ってきた方にも伝わる部分があるのかなと思います」

中村「第1シーズンから、主人公なので達也目線が多いんです。深雪ももう一人の主人公ではあるけど、心情を必要なところでしか描いていなかった部分がある。『優等生』の方では出ていたけど、『劣等生』ではそこまで出していなかった。第3シーズンあたりから、深雪の内面や立場に少しずつ光が当たる描写が増えてきたと思うんです。物語の重心が、これまでの達也中心の視点だけでなく、深雪自身の物語へと広がっていく。その流れが、今回の劇場版へ自然につながっている感覚はあります」

中村悠一×早見沙織×斎藤千和が語るお互いの魅力 劇場版 「魔法科高校の劣等生 四葉継承編」で確かめた信頼

――達也は第1シーズンから変わらずに一貫していますよね

中村「表現としてはいつも通りだと思います。ただ、最後のシーンは、いろんなことが判明した直後なので、気持ちの動揺はあるんじゃないかなと思います。でもお兄さんだから深雪にそれを見せないように努めていたのかな、と。達也はモノローグがないので、観ている側が想像する余白もあると思います」

早見「観ている側としては、どうしても妄想しちゃいますよね。普段より少し違う心持ちを抱いたんじゃないかな、とか」

――今回、三人で同時にアフレコする機会はなかったそうですが、現場の雰囲気はいかがでしたか?

早見「私は中村さんに応援してもらった記憶があります(笑)。深雪は一人でずっと心の中で対話しているようなシーンが多かったので、取り終えた時に『頑張って』って言ってくださったのが印象に残っています」

中村「深雪のドラマが大きく動くパートだったので、現場では見守っている時間が多かったですね。僕が引っ張るというより、深雪が物語の転機を作ってくれる。

達也は比較的いつも通りなので、そこは変わらず、という感覚でした」

中村悠一×早見沙織×斎藤千和が語るお互いの魅力 劇場版 「魔法科高校の劣等生 四葉継承編」で確かめた信頼

――12年という長い時間を同じシリーズでご一緒されていますが、お互いに刺激を受ける場面も多かったのでしょうか?

中村「僕が過去に演じていた作品では、周りの影響で軸や気持ちがブレる役が多かったので、達也のように大局としてはブレない役を演じるにあたって、早見さんがやられている心情は動いているけど、大局としてはブレない作り方にはとても影響を受け参考にしてます」

早見「初めて伺いました、12年の中で(笑)」

中村「斎藤さんとは、もっと天真爛漫な役柄での共演が多かったので、真夜みたいな、いろんなものを秘めていて真意が読めないキャラクターを一緒の現場で見るのはあまりなくて。第3シーズンで急にセリフが増えてきたときもすごいなと思いましたし、今回の終盤でずっと喋っているところも、僕はほぼ聞いていましたけど、アプローチとして参考になる部分がありました。何より斎藤さんは、芝居に関しては昔からブレがないんですよ。監督やスタッフさんから方向性が違うと言われているのを見たことがないですし、腕っぷしで信頼されている人だなと思います。真夜を斎藤さんがやるのを見たのは初めてでしたけど、完成度が非常に高かったです」

斎藤「太字でお願いします(笑)」

中村悠一×早見沙織×斎藤千和が語るお互いの魅力 劇場版 「魔法科高校の劣等生 四葉継承編」で確かめた信頼
中村悠一×早見沙織×斎藤千和が語るお互いの魅力 劇場版 「魔法科高校の劣等生 四葉継承編」で確かめた信頼

――早見さんから見たお二人は、いかがですか?

早見「私は本当に大好きな先輩のお二人で、デビューしてすぐの頃からご一緒して、お世話になってきました。中村さんは視点が広い印象がずっとあって、木を見て森を見ることもできるし、森を見て木を見ることもできる。物語だけじゃなくて、世界を広い視点で見ている感じがして、中村さんの一言で『はっ』となることが人生の中でたくさんありました。千和さんは、お芝居も素敵でかっこいいし、常にご自身の道を作っていらっしゃる。背中で示してくださる感じがします。ご飯に行かせていただいてお話するときも、いろんなことを共有してくださって、心の距離を近づけてくださるところが素敵だなと思っています」

中村悠一×早見沙織×斎藤千和が語るお互いの魅力 劇場版 「魔法科高校の劣等生 四葉継承編」で確かめた信頼

――斎藤さんから見たお二人は?

斎藤「早見ちゃんは事務所の後輩でもあって、デビューしてからずっとご一緒してきました。役者として最初からブレないし、自然体で現場にいる。声質自体も透明感があって、強い役もできるし、儚い役もできる。

現場に入る時、役をやるときに、その場に自然にいるためのスイッチが入る感じがあって、安定感のある人だなと思っています。プライベートでも会いたいと思うし、私からもよく誘うくらい大好きな後輩です」

早見「ありがたいです......!」

斎藤「中村くんは、博愛な人というイメージです。ちょっとシニカルなことを言うことはあるけど、根本がすごく優しくて、人を傷つけるようなことを絶対にしない。嫌なことを言ってきたな、と思ったことが一回もないです。視野が広い人だなと思います。私がブレブレのときに『全然大丈夫だよ、笑顔でいなさい』って言ってくれたことがあって、それが支えになった時期もありました。そういうところが、お芝居にも出る人だと思います。敵役や嫌な役をやっていても、絶対に愛を持って現場にいるので、共演すると安心感があります」

中村悠一×早見沙織×斎藤千和が語るお互いの魅力 劇場版 「魔法科高校の劣等生 四葉継承編」で確かめた信頼

――改めて、みなさんにとって『魔法科』シリーズはどんな作品になっていますか?

中村「芝居の幅で言うと、こんなに起伏が少ないキャラクターを演じる機会は他に多くないので、達也という役は自分の中でも大きい比重を占めています。達也ってクールなんですけど、信念や使命感は強い。だから力点を抜いちゃいけないというか、常にどこかに芯を込めなきゃいけない。そういう意味で珍しい役だと思います。ここまでやってきて、一番大きい声を出したのはどこだろう、と思うくらいで(笑)。

強めにやってくれと言われたのは、前の劇場版の最後のシーンあたりが印象に残っています」

早見「私は、作品自体のブレなさを感じることが多いです。ある種、帰ってくる場所みたいな感覚もあって。いろんな現場でキャストのみなさんとお会いしますが、『魔法科』の現場でご一緒すると、最初のアフレコや、これまで積み重ねてきた時間を思い出して、背筋が伸びるというか。ホームでもあり、いい意味での緊張感を与えてくれる存在かなと思います」

斎藤「私はお二人ほどの関わり方をしていないんですけど、私が出演するときは四葉家側の人たちが出ることが多いので、キャストの空気も学校のときとは違う印象があります。かっこいいイケボおじさんたちが厚めに揃っていて(笑)、私も堪能させていただいています。現場の空気は、固めというか、そういうイメージがありますね」

中村悠一×早見沙織×斎藤千和が語るお互いの魅力 劇場版 「魔法科高校の劣等生 四葉継承編」で確かめた信頼

取材・文=川崎龍也

劇場版「魔法科高校の劣等生 四葉継承編」公式サイト

作品情報

劇場版「魔法科高校の劣等生 四葉継承編」
2026年5月8日(金)劇場公開
(C)2024 佐島 勤/KADOKAWA/魔法科高校四葉継承編製作委員会

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