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今年4月、元SMAPの中居正広さんが恋人と半同棲中という報道がありました。結婚前の同棲率は7割ともいわれ、結婚のお試し期間として同棲するカップルはかなり多いようです。


とはいえ、結婚に至らず別れてしまうこともあります。関係性の清算と同時に共同生活も清算するという大きな負担のためか、様々なトラブルが起こることもあるようです。
中でも気になる私物の処分について、和田金法律事務所の渡邊寛弁護士にお聞きしました。

■勝手な処分は器物損壊罪にあたる
同棲解消して出て行った恋人が、私物を引き取ってくれない。連絡しても無視という状況で勝手に処分した場合、罪に問われる可能性はありますか?
「器物損壊罪に問われる可能性があります。
残された物は元恋人の所有物なため、勝手に処分すると、刑法上の器物損壊罪となり得ますし、民法上も損害賠償責任を負う可能性があります。

実際に器物損壊罪に問われるか、損賠償請求されるかはケースバイケースになりますが、恋人が出て行って間もない時期に、感情に任せて一切合切捨ててしまうようなことは止めた方がよいです。
アルバムや思い出のある物など、財産的な価値がなさそうなものでも、主観的な価値が認められることがあります」(渡邊弁護士)
どんな事情があっても、他人の私物を勝手に処分することは器物損壊罪に当たるのです。いくら邪魔でも、相手の承諾なく処分してはいけません。

■所有権には時効なし!
恋人関係の解消と共に連絡を遮断する方もいます。私物に関して連絡しても無視、居場所も不明という場合、相手の私物はどうすればよいでしょうか?
「相手の実家などで引き取ってもらうのがベストです。可能であれば、相手の家族など代わりに残置物を預かってもらえる人を探して託すのが一番よいです。

預ける先がないような場合は、処分も検討せざるを得ませんが、処分の前には、残置物引取りを催促し、引き取らなければ処分することを通知しておいた方がよいです。
返事がないことが直ちに所有権の放棄になるわけではありませんし、所有権に時効はありませんから、いつまで預かれば処分してよいという区切りはありません。
残置物の内容や量にもよりますが、現実的には、引取りの催促・処分の予告をした上で、もはや文句も言われないだろうという時期を見計らって処分するほかないでしょう」(渡邊弁護士)
“もはや文句も言われないだろうという時期”とは、判断がなかなか難しそうです。
同棲を始める前に終わった後のことを考えるのは無粋かもしれませんが、同棲前に私物を預けたり緊急時に連絡すべき人をお互いに伝えておくと、いざという時のトラブル回避につながるのではないでしょうか。

*取材協力弁護士: 渡邊寛 (和田金法律事務所代表。2004年弁護士登録。
東京築地を拠点に、M&A等の企業法務のほか、個人一般民事事件、刑事事件も扱う。)
*取材・文:フリーライター 岡本まーこ(大学卒業後、様々なアルバイトを経てフリーライターに。裁判傍聴にハマり裁判所に通っていた経験がある。「法廷ライターまーこと裁判所へ行こう!」(エンターブレイン)、「法廷ライターまーこは見た!漫画裁判傍聴記」(かもがわ出版)。
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