時代と共にゲーム機の性能は進化を続け、1世代違うだけで大きな飛躍を遂げることもありました。そうした性能競争が激化していく中、任天堂が2016年に発売した「ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ」(以下、ミニファミコン)は、むしろクラシックな方向に舵を切ったゲーム機として、多くのゲームファンを驚かせました。


かつて一世を風靡した名機「ファミリーコンピュータ」の復刻版として、見た目はほぼ同一ながら手のひらに収まるほどのサイズに縮小。ゲームカセットは挿せませんが、30本ものファミコンソフトを収録しており、懐かしいタイトルの数々を遊ぶことができました。

この「ミニファミコン」の成功を機に、様々なゲーム機を小型化して復刻させる、いわゆる「ミニ」化の動きが活発になりました。直近でも、ちょうど1年前の10月27日に「メガドライブ ミニ2」(以下、メガドラミニ2)が発売されており、昨年の盛り上がりを記憶に留めている方も多いことでしょう。

「ミニファミコン」から「メガドラミニ2」まで、当時人気を博したゲーム機の復刻版がいくつも登場しており、発売日に購入した人もいれば、いつか手に入れようと考えている方もいることでしょう。ですが、中にはすでに入手しにくいミニ機もあるのはご存じでしょうか。


果たしてどのミニ機がまだ入手可能で、そしていずれが購入難度高めなのか。中古市場におけるミニ機の現状へと迫ります。

なお今回は、家庭用の据え置き機として登場したゲーム機の「ミニ」に絞ってお届けします。

■「ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ」:2016年11月10日発売
「ミニ」化の流れを生み出すきっかけとなった「ミニファミコン」は、ファミコンブームの火付け役『スーパーマリオブラザーズ』や、世界的に支持されている人気シリーズの原点『ゼルダの伝説』など、任天堂ブランドの礎を築いた名作たちを収録。

また他社のゲームも、当時の高難易度アクションの代名詞とも言える『魔界村』に『忍者龍剣伝』、横スクロールSTGの名作『ギラディウス』、ファミコンRPGの代表的な存在『ファイナルファンタジーIII』など、誰もが納得する名作が多数揃っています。

30本のファミコンソフトが楽しめる「ミニファミコン」は、5,980円(税別)というお手頃価格で登場。
単純にゲームの本数で割ると、1本あたり約200円。コストパフォーマンスの面から見ても、かなりお得なゲーム機です。

そのため発売当時は人気が高く、各店舗で品切れを起こすことも多々。時期によってはかなりの入手難でしたが、今現在の販売状況はといえば、中古市場なら希望小売価格と同程度で購入できます。

生産が終了しているため新品での入手は難しく、プレミア価格で販売しているところもあるほど。ですが中古でもよければ、今は5,000~6,000円台で取り扱う店が多いので、さほど問題なく手に入れられる範疇です。


また、カラーリングや収録タイトルが異なる「ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ 週刊少年ジャンプ創刊50周年記念バージョン」が7,980円(税別)で発売されましたが、こちらの現在の中古相場は7,000円前後の模様です。

「ミニファミコン」と週刊少年ジャンプバージョンは、中古なら希望小売価格とあまり変わらない出費で今も手に入れることができる、と言っていいでしょう。

■「ニンテンドークラシックミニ スーパーファミコン」:2017年10月5日発売
「ミニファミコン」の翌年にリリースされたのが、スーパーファミコンの復刻機となる「ニンテンドークラシックミニ スーパーファミコン」(以下、ミニスーファミ)。基本的な設計思想は「ミニファミコン」と同様ですが、コントローラーはオリジナルを再現しており、サイズはそのまま。本体のみ小さくなりました。

遊べるゲームの数は「ミニファミコン」と比べるとやや減少し、21本を収録。
本数が減ったのは残念ですが、『スーパーマリオワールド』『スーパーマリオカート』『ゼルダの伝説 神々のトライフォース』『スーパーメトロイド』など、今回も定番の任天堂ブランドが光ります。

また、『ファイアーエムブレム 紋章の謎』や『スーパーストリートファイターII』、『ファイナルファンタジーVI』に『星のカービィ スーパーデラックス』など、当時人気を博した注目作も並んでおり、厳選されたラインナップはさすがの一言です。

その中でも特に話題となったのは、当時発売されなかった『スターフォックス2』の存在です。長い間、表舞台に立つ機会のなかったこちらの作品が、「ミニスーファミ」収録という形で初めて世に出て、多くの方がプレイできる環境となりました。

この「ミニスーファミ」も人気を博し、入手しにくい時期もありましたが、現在の中古市場は6,000円中盤~後半で推移。「ミニファミコン」と同じく生産が終了しているので新品は難しいものの、中古なら希望小売価格の7,980円(税別)を上回らずに入手できるでしょう。


■「ネオジオミニ」:2018年7月24日発売
1990年に登場した「ネオジオ」は、アーケードで遊べるものとほぼ変わらない体験を家庭でも味わえる、当時の最先端を行くハイスペックなゲーム機でした。ただし、価格もその性能に見合った高さだったため、憧れはするものの手が出ないユーザーがほとんどでした。

指をくわえていた時代から約30年が経ち、この「ネオジオ」も「ネオジオミニ」に姿を変えて再登場。アーケード版と遜色のない40本を収録し、11,500円(税別)で発売されました。

この「ネオジオミニ」はユニークな特徴を持っており、小さいながらも液晶ディスプレイやスティック型コントローラーを搭載。このゲーム機単体だけで、40本のゲームをプレイすることができるのです。


もちろん、TVやモニタに出力もできますし、外部コントローラーの接続も可能なので、万全の環境で楽しむもよし、持ち運んでコンパクトに遊ぶもよしと、様々なプレイスタイルに対応しています。

「ネオジオミニ」を中古市場で確認すると、現在の相場は7,000~8,000円ほど。希望小売価格を下回っているので、こちらも手に入りやすい状況です。また、インターナショナル版やクリスマス限定版の「ネオジオミニ」もありますが、ほとんどの中古価格は希望小売価格以下なのでご安心ください。

ただし、3,000台限定の「NEOGEO mini サムライスピリッツ特別限定セット」に限っては、発売後の中古相場は高値が続き、価格21,500円の2~3倍で取り引きされることも。限られた台数が、供給に追いつかなかった模様です。

■「プレイステーション クラシック」:2018年12月3日発売
「ミニ」化の動きにソニー・インタラクティブエンタテインメント(以下、SIE)も反応を見せ、初代プレイステーションを小型化&復刻した「プレイステーション クラシック」(以下、PSクラシック)をリリースしました。

こちらの収録タイトルは20本で、価格は9,980円(税別)。本数と価格のバランスがちょっと悪いように見えるかもしれませんが、1本ごとのデータ量の増加を考えると、やむを得ないところでしょう。

ラインナップにはSIEの名作も含まれており、同社の代表的なRPG『アークザラッド』『II』と『ワイルドアームズ』、個性的なパズルゲーム『I.Q Intelligent Qube』に『XI [sai]』など、初代PSを盛り上げたタイトルを遊ぶことができます。

また、他社のRPGだけ見ても『ファイナルファンタジーVII インターナショナル』『サガ フロンティア』『女神異聞録ペルソナ』と、いずれも現役で活躍するシリーズ作の人気タイトルが入っており、腰を据えてじっくりと楽しめます。

中古市場を見てみると、「PSクラシック」は希望小売価格を下回る価格帯で落ち着いており、このところは5,000~6,000円台が多め。一時期よりも値が戻ったとはいえ、今も十分手が届く範囲です。

■「メガドライブ ミニ」:2019年9月19日発売
セガが手がけた5番目の家庭用テレビゲーム機「メガドライブ」は、国内ではセガファンを中心に広がりを見せ、海外では北米などで高く評価されました。当時一大ジャンルだったRPG方面が弱かったものの、ユーザーを虜とする個性派タイトルが多く、唯一無二の存在として今もなお愛されています。

そんな「メガドライブ」を小型化した「メガドライブ ミニ」(以下、メガドラミニ)は、42本ものゲームを収録しながらも、6,980円(税別)とかなり押さえた価格で登場。またラインナップも、『ソニック・ザ・ヘッジホッグ2』や『ぷよぷよ通』といった定番の人気ソフトから、プレミア価格で手が届かなかった『バンパイアキラー』、メガドラ好きなら外せない『ガンスターヒーローズ』に『シャイニング・フォース 神々の遺産』など、ゲームファンを唸らせる見事な編成でした。

ですが、「メガドライブ ミニ」が与えた衝撃は、懐かしい作品の収録だけに留まりません。当時発売を予定しながらリリースできずに終わった『テトリス』と、メガドライブには移植されなかった初代『ダライアス』も収録。文字通り、幻だったメガドラソフトを新規で2本も用意する、嬉しいサプライズに満ちたゲーム機となりました。

その充実した内容がユーザーの信頼を勝ち取ったのか、予約や売れ行きも全体的に好調。2022年中ほどから中古価格も徐々に値上がり、希望小売価格の1.5倍~2倍ほどのプレミア価格に。ここまで紹介したミニ機とは異なる中古相場を辿っています。

内容の充実度を考えれば、今の中古価格でもアリかもしれませんが、定価超えというのはやはり気が進まないところ。「当時買っておけばよかった」と後悔している人もいることでしょう。

■「PCエンジン mini」:2020年3月19日発売
1987年発売の家庭用ゲーム機「PCエンジン」の復刻となる「PCエンジン mini」は、PCエンジンソフトはもちろんのこと、拡張機器「CD-ROM2」向けのタイトルも収録。また、「TurboGrafx-16」向けのタイトルも含まれており、一部重複するタイトルもありますが、58本ものゲームを収録する大ボリュームで注目を集めました。

光学メディアのゲームソフトを収録するミニ機は、ここまで取り上げた中だと「PSクラシック」のみ。「PCエンジン mini」はカード型のカートリッジゲームも含むとはいえ、58本というラインナップに当時驚かされたものです。その分、11,500円(税込)と少しだけ高めですが、重複している5本を除いたとしても、1本あたりは217円ほど。こちらもなかなかの高コスパです。

ちなみに「PCエンジン mini」は、Amazonでのみ販売する専売商品としてリリースされました。もちろん、「PCエンジン mini」の中古品は各リサイクルショップで扱われていますが、新品の本機はAmazonでしか買えません。

発売後しばらくは安定した人気と相場を保っていましたが、Amazonのビッグセールに合わせて値引きされたこともあり、約半額の5,000円台で購入できた人もいます。

そんなお買い得な機会もあったものの、中古相場は徐々に値上がり傾向に。その勢いは今年の5月ごろに更なる加速を見せ、Amazonの新品取り扱いが終わった直後に急騰。中古相場が15.000円~20,000円の間を行き来し、今現在もその価格帯で安定しています。

元値の1.5倍ほどとなると、手を出しにくくなるのも事実。『SNATCHER』『イースI・II』『天外魔境II 卍MARU』『ときめきメモリアル』『スプリガン mark2』など、PCエンジンを彩った名作たちがまとめて遊べるゲーム機ですが、ちょっとした高嶺の花となってしまいました。

■「メガドライブ ミニ2」:2022年10月27日発売
収録本数、ラインナップ、そしてサプライズと、「メガドラミニ」は全てにおいて高い評価を集めました。ですが、セガの挑戦と躍進はそれだけに留まらず、「メガドライブ ミニ2」(以下、メガドラミニ2)も生み出し、こちらも話題となりました。

「メガドラミニ」はカートリッジゲームだけが対象でしたが、「メガドラミニ2」はさらに、光学メディア対応の周辺機器「メガCD」のゲームも対象に含め、ラインナップの更なる充実を図りました。また収録本数も、当時は発売されなかった「ボーナスタイトル」10本を加え、60本という大台に突入。そのため、価格は 9,980円(税別)に上がりましたが、内容を考えればそれでも十分すぎるほどお得なボリュームです。

「メガCD」タイトルだけでも、人気RPGシリーズの『ルナ ザ・シルバースター』『ルナ エターナルブルー』、美しさに目を奪われる『エコー・ザ・ドルフィンCD』、ポリゴンSTG黎明期の代表作『シルフィード』、そして『夢見館の物語』『ナイトトラップ』『魔法の少女シルキーリップ』といったそれぞれ全く異なる個性を持つADVなど、当時を思い出させる作品が並んでいます。

そして、冒険感に満ちた『ファンタシースターII 還らざる時の終わりに』や『ソーサリアン』、奥スクロールSTGの名作『スペースハリアー』『スペースハリアーII』に『アフターバーナーII』、今回のためにメガドラ版が作られた『ふたりでぷよぷよSUN』、シリーズの原点『シャイニング&ザ・ダクネス』と、かつてのカートリッジゲームも多数収録されました。

「メガドラミニ」に負けない豪華な内容だったため、こちらも発売前から高い注目を集めます。そして発売早々に売り切れていき、後に海外版も品切れ状態に。公式サイトでも「完売御礼」と表記され、今や希望小売価格で新品を入手するのはほぼ絶望的です。

また中古相場も高騰の一途を辿っており、2023年前半には20,000円台に突入。その後も大きな下落はなく、現在は20,000円台前半~25,000円の価格帯で落ち着いています。希望小売価格の2倍以上もの相場になっており、「メガドラミニ」「メガドライブ ミニ2」のいずれも需要の高まりが今も続く結果となりました。

ミニ機の人気や売れ行きはそれぞれで異なりますが、中古市場における価格の推移もまた、大きな違いが見られます。希望小売価格を下回っており、手に入れやすいものもある一方、2倍以上のプレミア価格となり、気軽に買えないものもあります。

今後、こうしたミニ機が新たに出るかは分かりませんが、もし発売された場合、早めに買っておかないと後悔するかもしれません。過去の事例を踏まえ、悔いのないように立ち回りましょう。

※中古価格は個人的に調査したもので、相場を保証するものではありません。