『狼と七匹の子ヤギ』の結末って結構残酷ですよね。
「子どもを食べられてしまったお母さんヤギは狼のお腹をハサミで切りました。
善悪の判断がしっかりつくように……という親の願いは裏目にでて、「こんな絵本を与えたら子どもに悪影響なのでは?」と心配な親御さんもいらっしゃると思います。そこで今日は、『心と頭がすくすく育つ読み聞かせ』の著者・立石美津子が“残酷な絵本を選んでいいか”について語りたいと思います。
■意外と多い!残酷シーン描写のある物語
昔話の原文を見ると結構、残酷で酷い結末のものが多いです。
例えば、『狼少年』では「狼が来た!」と何度も嘘をついた少年が、本当に狼が来た時に誰にも信じてもらえず、とうとう狼に食べられてしまったという描写があったり、『赤ずきん』では赤ずきんとお婆さんを食べた狼は猟師により射殺された、という描写があります。
日本昔ばなしでも、イソップ物語でも、グリム童話でも古今東西、残酷な描写は見当たるものです。
■残酷な話は必要です
でも、全く心配はいりません。むしろ、人は生まれながらにして道徳心・良心は持ってはいなくて躾により養われることを考えれば、昔ばなしはその教材としては最適なのです。因果応報、勧善懲悪「悪いことをしたら徹底的にやられてしまうんだ」ということを学びながら心が養われます。
それなのに、もし本とはいえ、結末が曖昧だったらどうでしょう? 悪いことをしても許されたらどうでしょう?
最近では、読者からのクレームを受けたのか「狼とヤギたちは仲直りしていつまでも幸せに暮らしました(『狼と七匹の子ヤギ』)」と結末を変えてしまっている絵本もあります。子ヤギたちを食べてしまった狼を許す母なんているでしょうか?
子どもだって「悪いことをしても許される」と学習してしまう危険があると思います。
いかがでしたか? 再話と呼ばれる昔ばなしは沢山の出版社から出ています。その時は是非、曖昧なものではなく結末がはっきりとしている絵本を選びましょう。
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【参考】
※ 立石美津子(2013)『心と頭がすくすく育つ読み聞かせ』(あさ出版)
【著者略歴】
※ 立石美津子・・・専門家ライター。32歳で学習塾を起業。現在は保育園、幼稚園で指導しながら執筆・講演活動に奔走。