日本では「お腹を痛めた子」とか「血を分けた子」などという言い方があります。親子の強い絆を表した言葉ですね。
でも、この考え方に象徴されるように、親子の絆を重視し過ぎるせいで、親子関係に弊害がでているのではないかと思うケースもあります。
今日は、『5歳からでも間に合う お金をかけずにわが子をバイリンガルにする方法』(彩図社)の著者で、日本と欧米の優れた点を取り入れたしつけを提唱している平川裕貴が、親子のあるべき姿について考えてみたいと思います。
■成人してからも干渉し続ける日本人の親
最近よく耳にする毒親と言う言葉ですが、実はこの毒親、決して幼児を持つ親だけではないのです。
子どもが20歳になっても、30歳になっても干渉し続ける親が増えているのです。
子どもが就きたいと言った仕事に反対してやらせない。
子どもに自分ができなかった夢を押し付ける。
子どもが選んだ結婚相手が気に入らないからと無理やり別れさせる。
子どもに、育てた恩を返せと老後の世話を強要する。
など、まるで子どもを自分の奴隷や、分身や部下のように扱う親がいます。
子どもを一人の人間として認めないこれらの親は、親子関係を完全に勘違いしていると言わざるを得ません。
■養子を「わが子」として育てる欧米人
癌の予防のために、両乳房切除手術や卵巣・卵管摘出手術を受けて話題になった女優のアンジェリーナ・ジョリーさんには、6人の子どもがいます。
でも、6人とも、ブラッド・ピットさんとの間にできた子どもかというと、実はそうではないのです。
3人は実子ですが、残り3人は養子です。
しかも、その養子は、白人の子どもではなく、カンボジア、ベトナム、そしてエチオピア出身の子どもです。
女優という職業柄、家族写真もよく流出するジョリーさんですが、子だくさんのファミリーそのもので、肌の色の違いがなければ、きっとどの子が養子かはわからないでしょう。
アメリカでは、離婚やドラッグやアルコールなど問題を抱えた親が多いという背景もありますが、養子はとても多いです。
もちろん、養子を迎える家庭がすべて裕福で、温かい家庭かと言うと決してそうではなく、問題を抱えた里親もたくさんいます。
でも、少なくとも、欧米の人達は、子どもが母親のお腹を痛めた実子かどうかなどは、全くと言っていいほど気にしません。
■子は親の「所有物」?それとも社会の「預かりもの」?
日本の親と欧米の親の、子どもや親と言うものに対する考え方に、大きな違いを感じませんか?
自分と血のつながらない子、しかも国籍も人種も違う子どもをわが子として育てる欧米の親は、子どもを成人まで育てて社会に送り出すのが“親というもの”の仕事だと考えているのです。
一生子どもに対して責任があるとしたら、3人も4人も、全くの他人の子を養子として引き取ることなどできないに違いありません。
「18歳になれば、親の手を離れて自分の人生を歩ませる」
そのゴールがあるから、里親ができるのかもしれません。
欧米の親の考え方は、“子どもは社会からの預かりもの”という意識なのです。
人間の社会は、人々がそれぞれ持てる能力を活かし助け合って暮らしています。
いずれ、子どもは社会を構成する一員になるということなのです。
いかがでしたか?
あなたは自分のお子さんをどんな風にとらえていますか?
お腹を痛めて生んだのだから、自分の所有物。だから、親の思い通りに育て、親の望む人生を歩ませて、最後まで親子の絆を優先させようと思いますか?
もうすぐ「母の日」ですが、自分が母となって子どもをもったからこそ、こんなことも少し考えてみませんか?
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【参考】
※ 平川裕貴(2014)『5歳からでも間に合う お金をかけずにわが子をバイリンガルにする方法』(彩図社)
【著者略歴】
※ 平川裕貴・・・専門家ライター。日本航空国際線CA、外資系英語スクールを経て、1988年に子供英会話教室設立。30年以上に亘り子供英語教育に携わり、現在3~6歳までの子供にバイリンガル教育を実施中。近著は『5歳からでも間に合う お金をかけずにわが子をバイリンガルにする方法』。