戊辰戦争最後の戦い、箱館戦争では男名を使った日本人女性のフランス通詞が幕府軍に紛れていました。その人物の名前は田島勝太郎(たじま-かつたろう)で、箱館戦争に従軍する前は芸者をやっていました。


「男名の元芸者が箱館戦争へ」という聞くだけで驚くようなことをやった勝太郎の数奇な生涯を今回はご紹介します。

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女性剣士イメージ

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■父は幕府通詞

勝太郎の本名は田島勝といい、江戸の下谷(現在の東京都台東区)で生を受けます。父の田島平助は飾師をやっており、飾りで使う宝石や異国品の取引をしている内にオランダ語やフランス語に精通するようになりました。

平助はこのことにより、幕府の通詞となり長崎へ滞在することになります。勝も父と共に長崎へ滞在していました。

しかし、平助が暗殺されたことで勝は故郷の下谷へ戻ることになりました。

■母のために芸者の道へ

下谷に戻った勝は母を養うために「勝奴」という芸名で芸者になります。そんな時、勝は長崎にいたころに親交があった榎本武揚と偶然出会います。

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榎本武揚/Wikipediaより

2人は武揚が長崎海軍伝習所に入学していたころに平助を通じて会っていました。

勝は耳学問でしたが、オランダ語とフランス語が話せました。そのことに目を付けた武揚はこのような生活から救おうとした思いもあり、勝にフランス軍事顧問団の通詞となることをお願いします。

承諾した勝は、この時から男装し「田島勝太郎」と名乗ります。


■いざ、箱館の地へ

勝から勝太郎になった後、武揚に従って箱館の地へ向かいます。そして、勝は箱館戦争の最中に官軍によって捕らえられてしまいました。

その後は黒田清隆によって助けられ、勝は箱館病院へ連行されます。

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黒田清隆/Wikipediaより

箱館病院では元気なのに病人扱いされ自由が利かない状態でしたが、勝は武揚と通じていることもあり五稜郭の開城を促す使者に抜擢されます。

しかし、勝は武揚から追い返されてしまいました。その後も武揚は新政府軍と戦いますが、降伏し東京へ護送されます。勝は武揚を追って東京に行こうとはせず、箱館病院にて病人の看病をすることを望みました。

■最期に

芸者が通詞になるという人生を歩んだ勝を見ていると人生とは何が起こるかわからないとつくづく思い知ってしまいます。

どんな人生になろうともやりたいことを優先に生きていく意志を勝から感じ取れました。勝のように柔軟に人生を謳歌したいものですね。

参考:

  • 寺島柾史 『日本海軍戦記 怒涛』
  • 歴史の謎を探る会『江戸の時代本当にあったウソのような話』

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