■経血の対策
江戸時代は現代と違って便利な生理用品はなく、したたる経血は「御簾紙(みすがみ)」という和紙を当てて、上から「ふんどし」で固定し漏れを防いでいました。
男性が着用していたイメージの強い「ふんどし」を、女性は月経期間に利用し、乗り越えていたことに驚く人も多いのではないでしょうか?
■月経小屋と当時の女性たちへの冷遇
月経期間中の女性は「穢(けが)れ」として扱われることが多く、月経小屋という建物で隔離されて過ごしていました。
月経小屋はもともと、月経で精神的にも体力的にも疲れきった女性の体調を気遣って建てられた建物です。
けれど、「血」は不潔や不衛生なものとして忌み嫌われていたこともあり、夫や家族に穢れた気を移さないようにするためにも使われていたのだとか。
月経期間中の女性は夫や家族に会うことも許されず、1人ですべて自分の身の回りの管理をして過ごしていました。
何かあっても助けてくれる人がいないことや月経のたびに家族と離ればなれとなる寂しさは、想像以上に苦痛だったことでしょう。
■悲痛な遊女の月経期間

遊女も女性なので、当然のように月経がやってきます。
しかし、遊女は月経期間中も休むことは許されず、吉原トップの遊女でさえ2日間しか休みをもらえませんでした。
また、月経期間中の女性は「赤馬」と呼ばれ、当時は「乗ると性病が治る」という俗説があり、性病の男性や物好きな客が月経期間中の遊女を好んで指名していたようです。
勝手に性病をうつされる遊女の身になると、たまったものではありません。
生理痛がひどい時には湯たんぽで体を温めて痛みを和らげるなど、工夫して懸命に仕事をこなしていた当時の遊女たちの努力や苦労を考えると、さぞ悲痛だったことでしょう。
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■まだまだタブー視される女性の「生理」
現代では生理用品が発売され便利になっていますが、現代の女性は江戸時代の女性より経血の量が多いと言われていますし、腹痛が激しい人も少なくありません。
まだまだタブー視されている「月経」ですが、性別関係なく生理中のツラさを周囲に伝えられる、そして周囲も自然とサポートができる世の中にしなければなりません。
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