実は、古来の日本においても「初夜権」によく似たものが存在していたといわれています。
そこで、今回は中世ヨーロッパと日本の初夜権について比較しながらみていきましょう。
■初夜権とは
初夜権とは、庶民・領民の結婚に際して領主・祭司・僧侶などの権力者が花婿よりも先に花嫁と性交できる権力のことで、中世ヨーロッパで存在したといわれています。
当時では、初夜権を持つものが権力者であることの証明だったようです。
女性の処女は土地や年貢と同様に扱われており、領主などの権力者に「処女権」や「股権」として貢がれ次第に初夜権へと変わっていった説のほか、結婚税として徴収されていた税金に対し「納めることができれば花嫁の処女を守れる」といった風説が変化して初夜権になったという説などがあります。
■日本の初夜権とは
日本では、古代の神事や祭祀、地方の風習から中世ヨーロッパの初夜権に類似したものが確認されているようですが、正確に「存在した」と断言している文献はありません。
さらに諸説あり、奈良時代の「日本書紀」や平安時代の「本朝文粋」から、中世ヨーロッパに存在していた初夜権と日本に存在していたとされる初夜権は別物であるという説があります。
古代日本の神道において、精通経験のない男性や処女や初潮経験のない女性は神の所有物とされており、彼らを正しく導けるのは「神の共同体である神主」や「神の使いである巫女」のみとされていました。
庶民は結婚したての数日間は神に敬意を表し、性交を避けることで災厄が降りかからないようにしたほか、「神の共同体である神主」が処女の新婦との性交を代行することで神の怒りを鎮めたとされています。
■中世ヨーロッパと古代日本の違い
中世ヨーロッパの初夜権では、女性側に拒否権がなく半ば強引に性交させられるものがほとんどでした。
しかし、古代日本では、処女のまま新郎のもとに嫁ぐのは失礼だとされており、新婦の両親が「処女を抱いてくれないか」と神主や村の年寄にお願いしていたそうです。
このような話を聞くと、現代に生まれてよかったと思う女性も多いのではないでしょうか?
いまでは到底、考えられない話ですね。
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