厚生省によって公表されている最新の日本人の死亡原因は、男女とも一番を占めるのは悪性新生物、つまり「がん」だそうです。

「がん」は、「悪性腫瘍」ともいわれ、遺伝子変異によって自律的で制御されない増殖を行うようになった細胞集団(腫瘍)のなかで周囲の組織に浸潤し、または転移を起こす腫瘍のことをいいます。


■平仮名の「がん」と漢字の「癌」は同じ意味ではない?

「がん」を漢字で書くと、「癌」となりますが、厳密にいうと平仮名の「がん」と漢字の「癌」は同じ意味ではありません。

病理学的には漢字で「癌」というと悪性腫瘍のなかでも特に上皮由来の「癌腫」のことを指すのに対して、平仮名の「がん」は、「癌」や「肉腫」、白血病などの血液悪性腫瘍も含めた広い意味で悪性腫瘍を表す言葉としてつかわれています。

また、「癌」という漢字が常用漢字ではないため、文字表記において基本的に常用漢字表に従っている役所やメディアでは、「肺ガン」や「胃がん」などと表記されています。

■語源は「岩」を表す言葉

ところで、この「癌」という字、語源は「岩」を表す言葉だと伝えられています。江戸時代の医学書に、「乳癌」を「乳岩」と表記している例が確認できることからもそのことが理解できます。

どうやら乳癌は、癌の中でもとりわけ固いしこりになるため、昔の人たちには岩を連想させたようです。

また、別の説として、「蟹に由来する」という説もあります。癌は英語で”cancer”といいますが、これは「カニ」という意味のギリシャ語の「カルキノシス」に由来するといわれています。腫瘍とその周辺のリンパ節の腫れた様子が、蟹の形に似ているためですが、日本語の「癌」も、カニ→ガニ→ガンと変化したのではないかといわれています。

現在、日本人の2人に1人がかかるとされている「がん」。治療の方法も様々な種類が増え、昔のような「不治の病」ではなくなってきました。

インターネットなどが普及し、「がん」に関する情報が容易に得られるようになった反面、たくさんの情報に混乱してしまうケースも出てきました。


信頼できる情報源や相談窓口として、全国の「がん診療連携拠点病院」や「小児がん拠点病院」「地域がん診療病院」に「がんの相談窓口」が設置されており、どなたでも無料に相談できるようになっています。

また、「がん情報サービスサポートセンター」では、電話でがん相談支援センターを探すことができます。

参考
  • 「性別にみた死因順位(第10位まで)別 死亡数・死亡率(人口10万対)・構成割合」『平成29年(2017)人口動態統計(確定数)の概況』厚生労働省
  • 国立がん研究センターがん情報サービス

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