SUBARU(スバル)が「スバ学」と呼ぶ公式ファンコミュニティーサイトを2023年11月20日に開設した。スバ学には「部活」や「保健室」があるという。

一体どういうものなのか。

「愉しく交流を深める学校のような空間」を目指して 「保健室」はスバルの「安全思想」がテーマ

自動車メーカーのファンコミュニティーサイトは、トヨタ自動車がランドクルーザーファン向けの「LANDCREWS(ランクルズ)」や日産自動車が「Club NISMO(クラブ・ニスモ)」などを開設している。

このほどスバルが開設したのは「スバ学」という学校を模したコミュニティサイト。「同じ学校に通う同級生のように、愉しく交流を深める学校のような空間」を目指しているのが特徴だ。

サイト内にはいくつかのカテゴリーがある。そのうち「部活」はキャンプやアウトドア、モータースポーツなど趣味の交流。

「保健室」はスバルが掲げる「安全思想」を語る場を目指している。

具体的には、部活ではスバルユーザーがモータースポーツなど趣味の体験談を、保健室では「運転支援システム・アイサイトのおかげで事故を免れた」など具体的な体験談を投稿する。

部活の項目には、キャンプ&アウトドア部、星空部、旅行部、自転車部、写真部、陸上部、カスタマイズ部、モータースポーツ部、いきもの係などがある。想像がつくものもあるが、ちょっと思いつかない陸上部とは「こだわりのランニンググッズ」や「あなただけのランニングコース」などを投稿するサイトのようだ。

また、部活の「その他」のカテゴリーでは、11月23日に埼玉県戸田市で開かれた旧車のイベント「トダクラシックカー同窓会」などが紹介されている。このイベントでは1960年代のスバル1000、スバル360はじめ、1980年代の初代スバルアルシオーネなど、30台近くのスバルの旧車が集まったという。

1972年創刊の冊子「カートピア」とともに、インターネットのない時代からファンと交流

これまでスバルはファンコミュニティーサイト「#スバコミ」を運営していたが、9月29日にサービスを終了し、今回、「スバ学」に衣替えした。

スバ学は学校だけに、学長もいる。学長には同社の技術系トップ、最高技術責任者(CTO)の藤貫哲郎氏が就任。

フジヌキ学長は「みなさん、スバ学への入学おめでとうございます。このスバ学はスバルを愛する皆さんやスバルに関わる人たちが一緒になって学び、交流できる場を作りたいという思いで開校しました」と語っている。

スバルは1972年から「カートピア」という月刊のユーザー・ファン向け冊子を発行している。

スバルは「カーライフマガジン」と呼んでいるが、全国のスバルディーラーで配布しているほか、現在はWeb版もある。

他メーカーにも同様のユーザー向け冊子は存在するが、すでに消滅したものも多い。そのなかでスバルは小規模メーカーながら、「スバリスト」と呼ばれる熱心なファンに支えられ、インターネットがない時代から、カートピアを介したコミュニティーが存在した。そのコミュニティーが現在のスバ学につながっているのだろう。

◆これからのEV時代、水平対向エンジンなきあともファンに愛されるクルマを

米国でスバルファンは「Subie(スービー)」と呼ばれ、日本のスバリストと同様、熱心なことで知られる。

それは低重心でバランスのよい水平対向エンジンとAWD(全輪駆動=4WD、四輪駆動)の組み合わせによる「走り」のよさと、アイサイトなど先進安全性に対するユーザーの信頼があるからだ。

スバルの特徴であるAWDは電気自動車(EV)の時代になっても変わらないが、水平対向エンジンはEVとなれば消滅する運命にある。その場合、スバルは何を武器にファンの心をつかむのか。

スバ学というファンコミュニティーサイトの立ち上げを機に、そんなことを考えた。(ジャーナリスト 岩城諒)