みなさん、こんにちは。今回は、会社のルールよりも「こっちの方が効率的」だと文句を言ってきた部下とどう関わるか、というテーマでお話していこうと思います。

このようなシチュエーションにおいて、上司としてどのような考え方をもち、部下にフィードバックすればよいのか考えていきましょう。

視野を広げる関わり方をする

会社のルールよりも「こっちの方が効率的」だと部下に文句を言われたら...どうフィードバックする?【リーダーの「コミュ力」vol.4前編】>の続きです。

前編では、効果的な意見については、上司として責任を持ち、積極的に取り入れることをお伝えしましたが、すべての意見が効果的なわけではありません。また、会社の方針を無視して一人だけの意見を取り入れてやり方を変えることは、「全体最適」の考え方からして難しいことです。

Dくんが自部門のことだけ考えたルール変更を提案してきた場合、私が行う2つの関わり方を紹介します。

1つ目は、部下の視点を広げてあげる関わり方です。

これは、物事をひとつの方向からではなく、多面的に見るよう提案するといってもいいかもしれません。まだ2年目だとすると、会社の方針や他部署の仕事内容を完全に把握できていないことの方が多いでしょう。

「この部門からすると、Dくんの提案はこういう問題が出てくると思うんだけど、どう考えているのかな」と、具体例をあげて聞くのは、視点を広げて物事を考えるきっかけとなりえます。

また、「他の部署から見た観点も含めて提案書にまとめてくれないかな」と提案することも、Dくんの鼻を折らずに他部署に与える影響を考えてもらうのに効果的です。

スタンスの変更を提案する

2つ目は、スタンスの変更を提案することです。

Dくんの意見にいい側面があったとしても、意見の出し方が批判的なスタンスでは、受け取り側は気持ちのよいものではありません。

これでは、Dくんがこの先、昇進昇格していくプロセスを考えたとき、大きな課題となるでしょう。

「もし、Dくんに後輩ができて、いまのDくんと同じような振舞いで『先輩のやり方より、こっちの方が絶対に効率的ですよ』といって来たらどう思う?」という聞き方は、自分のスタンスを内省してもらいやすくなります。

また、「いまのDくんのスタンスはどういったスタンスになっていると思う?」とストレートに聞くことも、自分の言動を確認してもらうときに効果的です。

大切なことは、「メンバーの強みを引き出しながら成長を促進すること」というマネジャーの立場に立ち、フィードバックすることです。

本気で成長を支援したいという想いは部下に伝わるものです。想いが伝われば、一見間違いを指摘しているようなフィードバックも、「自分の成長を本気で考えてくれているんだ」、とプラスの方向で捉えてもらいやすくなります。

いかがでしたか。部下のもつエネルギーを削がずにいい方向に導けるようになると、部下の強みを伸ばしていける上司へと成長できます。ぜひ、一緒にチャレンジしていきましょう。(橋本拓也)

【プロフィール】
橋本 拓也(はしもと・たくや)
アチーブメント株式会社 取締役営業本部長

2006年アチーブメント株式会社に入社。新規事業として家庭教師派遣事業を立ち上げたのち、医師・弁護士・会計士などの専門職業人、経営者やセールスパーソン等の目的・目標達成の支援を行うパーソナルコンサルタントとして活躍。2017年同部門の東日本エリア担当マネジャーを経て、2021年執行役員、2022年取締役に就任した。

100名以上のメンバーマネジメントに携わる傍らで、『頂点への道』講座 アチーブメントテクノロジーコース・ダイナミックコースのメイン講師を担う。これまで各種研修で担当してきた受講生の数は2万名を超える。