英教育誌「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション」(THE)は、最新の世界大学ランキングを2022年10月12日、発表した。19回目となる今年は104か国・地域の1799大学をランク付け、トップ100には中国から過去最多となる7校が入った。

米大学は5年前から11校減

同ランキングは留学先を選ぶ際に重視されるなど教育界での影響力が大きく、「教育(教育環境)」「研究(論文数、収入、評判)」「論文の引用頻度(研究の影響力)」「産業界からの収入(知の移転)」「国際性(教員、学生、研究)」の5分野で評価される。

トップは英国のオックスフォード大学で、7年連続で首位をキープ、2位は米ハーバード大学だった。100位以内に米国の大学が34校入り、トップ10も英米の大学が独占していることから、「(英語を母語とする)欧米の大学が有利」との指摘も根強い。

ただ、THEの見方は違うようだ。トップ100の顔ぶれを5年前と比較すると、米国の大学が11校減った一方で、中国の大学が2校から7校に増加したことから「アジア勢が躍進」と総括した。

中国の最上位は清華大が16位、続いて北京大が17位だった。

昨年は共に16位、今回も総合スコアの差が0.1ポイントしかなかった。上位の英米の大学と比較すると、「産業界からの収入」が高く、国際性のスコアが低かった。中国の大学は総じて国際性のスコアが低調だが、ゼロコロナ政策によって人材交流が滞っていることも一因と見られる。

他に復旦大学(51位)、上海交通大学(52位)、浙江大学(67位)、中国科技大学(74位)、南京大学(95位)がトップ100に入った。

東大、京大の次は...

一方で日本の大学は、東京大が前年の35位から39位に、2番手の京都大も61位から68位に順位を下げた。日本経済新聞によると、両大学は「学習環境の評判や大学出版物の学者による引用回数などの分野で評価を落とした」と原因を分析している。

順位が公表される200位以内に入った日本の大学は、東京大と京都大のみ。500位以内まで広げると、東北大が250位以内、大阪大が300位以内、名古屋大と東京工業大が350位以内だった。

アジアからは香港から5大学、韓国から3大学、シンガポールから2大学がトップ100に名を連ねている。

【連載】浦上早苗の「試験に出ない中国事情」<J-CASTトレンド>

浦上早苗経済ジャーナリスト、法政大学MBA兼任教員。福岡市出身。近著に「新型コロナ VS 中国14億人」(小学館新書)。
「中国」は大きすぎて、何をどう切り取っても「一面しか書いてない」と言われますが、そもそも一人で全俯瞰できる代物ではないのは重々承知の上で、中国と接点のある人たちが「ああ、分かる」と共感できるような「一面」「一片」を集めるよう心がけています。
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